第3話 ジル
「え、どこだって?」アルド達がきょろきょろ辺りを見渡したが、どこを見ても平坦な地面が続いているだけだった。
「町を襲った奴らは、いないみたいね」ケイトは用心深く辺りを見渡した。
「私の町は地面の中にあるの、ついて来て!」そう言ってケイトは颯爽とリックに跨り、地面を駆けて行った。
「おーい、待ってくれ!馬に乗って行くなんてずるいじゃないか!」
「アルド、もうケイトには聞こえてないわよ…」エイミが諦めたようにアルドに言った。
「早く追いかけないと、もう姿が小さくなっていってるでござるよ」サイラスは目を細めながらケイトの姿を追った。
「ケイトさんが前方で急停止しまシタ!まだ追いつけますノデ!」そう言うとリィカが走り出した。
「お兄ちゃんたち、急ごう!ケイトさん、何かしゃがんでるように見えるよ。」フィーネはケイトが駆けて行った方向へ指さすと、ケイトが小さくうずくまっているようだった。
「まさか敵襲か!?」アルド達はケイトのいる所へ急いだ。するとケイトは両膝を地面につき、必死に土をかき分けていた。
「あら、皆早いわね!皆が到着するまでに扉を掘りだそうと思ったんだけど、ここは風が強くてすぐ土の中に埋もれるから」ケイトは土必死にかき分け、額にはうっすらと汗が滲んでいた。
「地面に扉が埋め込まれてるのか!?凄いな…」アルドは目を丸くして言った。
「もう、またそうやって一人で突っ走るんだから。皆でやれば早いわよ」としゃがんで土をかき分け始め、「私たちもお手伝いさせてください!」フィーネやリィカもかがんで土を掘り始めた。
「うーむ、拙者の手は水かきなもんで、ちと掘るのは不得手でござる、面目ない」皆が地面を掘っている中、サイラスが申し訳ないように頭をかいた。
「いいのよ、サイラス!その気持ちだけで充分よ!」ケイトがサイラスに笑いかけた。
「サイラスは、念の為辺りを見張っててくれ!とアルドはサイラスに頼んだ。
「承知でござる!」サイラスは歩き回り辺りを警戒した。
土を掘り進めると間もなくして、丸い半球の透明なガラス玉のようなものが現れた。
「やったわ!やっと扉が見つかったわ!」ケイトが皆に声をかけると皆で土をかき分けた。するとそこには、3m程の長方形の透明な板で、縁を綺麗な金色でかたどり、扉の中央には50㎝ほどの先ほどのドーム状のガラス玉が埋め込まれていた。
「本当に扉が地面に埋まってるなんて、信じられないな」アルドはしげしげと扉を見つめた。
「でも、取っ手がついてないけど、どうやって開くの?」エイミがケイトに尋ねた。
「これは、私達にしか開けられないものなの。見てて」ケイトはそう言うと、ガラスの球体の上にそっと手を置き、目を閉じた。すると次第にケイトの体にある石とガラスの球体がチカチカと光だし、互いに求めるように白い小さな光を出し、やがて一本の線になった。そして今度はガラスの球体から光が溢れ出し、扉全体を包み込み白い輝きを放つと、扉はゴゴゴと地鳴りがなったような音を立て、独りでに後ろにスライドしていった。扉があった空間には地表に真っ直ぐに階段掘られておりずっと下まで続いき、横には等間隔で丸い風船ほどのガラス玉の中に白い光がフワフワ舞い、足元を照らしていた。
「この階段を下りたら私の町に到着するわ。みんな、私に続いて降りてきて。」ケイトはリックを伴って降りて行った。
「今度は階段だ、本当に地下に町があるんだな」アルドは扉があった所から下を覗き込みながら言った。
「ちょっと、アルド。置いて行くわよ!」「ちょっと、みんな待ってくれ!」続々とケイトに続き階段を降りて行き、アルドが最後に足を踏み入れると、また頭上で扉が閉まる音が聞こえた。
そうして、暫く階段を下りていくと、先ほどと同じ長方形の扉がそびえているのが見えた。
「さぁ、やっと着いたわ!」アルド達が扉の目の前に立つと、ケイトが最初に扉に触ったように球体に触れると、扉が光だし、今度は下に沈んでいった。
すると、扉を隔てたその中には乳白色やエメラルドグリーン、群青色といった透き通った綺麗な石のタイルが道に敷き詰めれられており、そのタイルの道の脇には、道と同じタイルで造られた家や建物がずらりと並んでいた。その奥には大きな広場のような場所があり、広場の中央には更に地の底から溢れ出る白く眩い光が天まで延びており、まるで一つの大きな柱となって町全体を支えているようだった。
「凄い!本当にここに町があったなんて!外側は真っ暗なのに、なんで中はこんなに明るいんだ!?」アルドは目を丸くしてぽかんと口を開けた。
「わぁーー、素敵な町!このフワフワ浮いてる綿毛みたいなのもケイトさんの石と同じ光なんですか?」フィーネが目を目の前に浮いている雪のように舞っている小さな光を見ながら尋ねた。
「木や植物が光ってるわ、綺麗!」エイミは建物同士の間に植えられている木や花をうっとりと眺めた。
「今まで冒険で色々な町を訪れたが、この町はまた特別綺麗なところでござるな!昔から住んでいるとは思えないほどどこも傷んでおらんようでござる」サイラスが感嘆して周りを眺めながら言った。
「ここの建造物はコノ浮いている白い光デ構成されているのデスカ!?非常ニ興味深いですノデ!」リィカが目を光らせながら、立ち止まり、なにやらデータを収集しだした。
「みんな!質問に答えたいのは山々だけど、敵が潜んでいるかもしれないから気を付けて!それに逃げ延びた仲間がいるかもしれない。先に探すのを手伝って貰ってもいいかしら?」ケイトはアルド達に申し訳なさそうに言った。
「もちろんだよ!早く町の皆を探さないとな!」アルド達は手分けして町を捜索した。
アルドとサイラスは町の東側を、エイミとリィカは南側の入り口付近、ケイトとフィーネは馬のリックに乗って町を半周それぞれ見回った。暫くして町の中央付近の広場に集合すると結果を報告しあった。
「俺とサイラスは東側を見て周ったけど、人影一つ見当たらなかったな。町の外れまで行った時に小さな井戸みたいなものを見つけたんで、サイラスが覗き込んだら、大きな白い魚が飛び出してきて、危うくサイラスが食べられるところだったよ」
「うむ、久しぶりに肝を冷やしたてござる。」
「それはホワイトコッドね。気性が荒いのが難点だけど、香草と一緒に焼いて食べたら最高よ!私たちは釣りをして捕るけど、サイラス自ら餌となって捕ろうとするなんて大胆ね」
「そういうつもりは無かったでござるが…」
「私たちは町の右側を半周してみたけど、椅子やテーブルがひっくり返ってるのが見えただけで、他は何もなかったです」フィーネが困ったように言った。
「最後は私たちの番ね。最初に入った付近を見てみたけど、やっぱり皆と同じよ。建物に人はいなさそうだったわ。」
「ハイ、レーダーで探知してみましたガ、何も気配はキャッチ出来ませんデシタノデ!その代わりに何やらペンダントのようなものを発見シマシタ!」リィカが手に持っていたものを差し出すと、ケイトが勢いよく飛びついた。
「それは、弟のジルのものだわ!リィカ、見つけてくれてありがとう!きっと奴らから逃げてどこかに潜んでるんだわ、早く助け出さないと」ケイトは革紐の先にL字型をしたエメラルド色の鉱石を大事そうに手で包んだ。
「そうだな、みんなでこれだけ探して、手がかりがこれだけか…ケイト、この町の事やケイトたちの事をもう少し詳しく教えてくれないか?一度状況を整理してみた方がいいと思うんだ」
「アルドにしては冷静な事を言うのね。確かに賛成よ」エイミが頷いた。
「急がば回れでござるな!」
「情報の整理は時に新しい道に繋がりますノデ!」
「ケイトさん、きっと町の皆さんは無事ですよ!」
「みんな、ありがとう!…そうね、焦っても仕方ないよね。私の家に行きましょう。」ケイトは皆を連れて広場を通り過ぎ、北側の斜め奥にある細い道へ入って行った。
ケイト達が広場を離れた後、建物の陰に隠れていた何者かが姿を現した。
「確か一人捕り逃したとだけ聞いたが…人数が増えてるな、一応報告しておくか」
その者は一人呟くと、さっと踵を返し、去って行った。
「ここが私の家よ」ケイトは立ち止まって振り返った。
「周りの家より人一倍大きいな!」アルドは目の前にある2階建ての立派なレンガ造りの家にびっくりしながら言った。
「でも中は半分研究所みたいなものだから、物でごった返してるわ」ケイトが恥ずかしそうに言った。
ケイトの家のリビングでこれまでの事を振り返った。
「えっと、じゃあ、そもそもこの町の成り立ちからなんだけど…」アルドがケイトへ話を振るとケイトが「さっき集まった広場に大きな光の柱があったでしょ?あれが前に話した《神の光》よ。ここよりずっと地下にある湖からああやって絶えず光を出しているの。もちろん光の毒素を浴びないように湖付近に特殊なろ過装置を設置しているから、害はないわ」
「その元の光を浴びると傷や病気が治るのよね?でも浴びすぎると体の中で毒に代わってしまいには死んでしまうのよね?」エイミが思い出しながら話した。
「そうよ。その毒素を抑えるために私の祖先が研究に研究を重ねて、光を結晶化にしたの」
「しかし、その治癒能力が優れているから、他国に悪用されないように鎖国化したのでござるな」とサイラスが続けた。
「でも、先日敵襲にあって、町の人たちがどこかに連れ去られたんですよね?」フィーネが訪ねた。
「その辺の話を詳しく教えてもらえないか?」
「うーん、けどジルと子供たちが外に行った時に初めて敵と接触したみたいだし、子供たちはその時よっぽど怖い思いをしたのか、みんな震えて話を聞ける状態じゃなかったわ。そしてそうこうしているうちに、奴らが攻め入ってきたの。皆が目の前であっという間に捕まっていったわ。この町は防御は完璧だけど一度破られると、本当に脆いの。何百年と平和な日々が続いて、みんな武術なんて大半が学んでなかったし。そうして町の皆が捕まっていき、私も寸でのところで捕まるところだったけど、父や母に逃がしてもらった、…そうしてあなた達に助けてもらって、今に至るわ」
「ソノ敵というのはドウイッタ人達なのでショウカ?」リィカが尋ねた。
「エアガイツ国の奴らよ。ここから西の外れにある小国だけど、その国王が大変野心家で常に周りの村や町を支配して回っている暴君よ。そいつがどんどん力をつけだして、勢力を強めているみたい。この町にも噂が流れる位だから、相当な勢力を伸ばしてるに違いないわ。きっとジルは奴らに目をつけられて攫われて利用されたんだわ」ケイトは苦虫を嚙み潰したような険しい顔をした。
「どの時代にもバカ者はいるものでござるな。まったくけしからんでござる」サイラスが憤った。
「でもまだケイトさんは捕まってません!私達が必ず守ります、皆さんを助けましょう!」フィーネがケイトに優しく声をかけた。
「うぅっ・・・、フィーネ、ありがとう。なんて優しい人たちなの」ケイトが今にも泣き崩れそうになって顔を手で覆った。
「いやいや、泣かないでくれ!まだ何も解決していないし!相手国に攻め入るにしても情報がないし、他に何か手がかりはないかな」アルドがケイト声をかけた。
「そうね…、あっ、そういえば、たしか両親が私とジルが小さかった頃、何かあった時は家の地下に逃げなさいって言ってくれたことがあったわ!その時は小さくて全然気にも留めてなかったから、今まですっかり忘れてたわ。ジルのこのペンダントと私のブレスレットが鍵になってるって、母が私達にくれたの」ケイトは皆にペンダントとブレスレットを見せながら話した。
「へぇ、ケイトのご両親はこういう事を見越してそんな場所を作ってくれてたんだな」アルドが感心して言った。
「でも、町にこのペンダントが落ちてたって偶然にしても出来すぎてないかしら。まるで誰かが誘導してるみたいね」エイミが怪しむように二つのアクセサリーをじっと見つめた。
「エイミ、虎穴に入らずんば虎子を得ずというでござろう、今はこれしか手がかりがないとあれば、それに従うのみでござるよ」
「まぁ、そうだけど・・・、分かったわ、ケイト、その地下はどこから繋がってるの?」
「確かの父さんの書斎の本棚の下に小さな扉があったと思うわ。見てもらえれば分かるけど、たくさん本棚があるからどかすのも大変よ」そう言うと、ケイトは皆をリビングの右側にある書斎へ案内した。そこには、入って右側に小さなデスクと椅子がちょこんとおいてあるだけで本棚が部屋の半分以上を占めており、部屋の一番奥に4台、真ん中と一番手前にそれぞれ3台、合わせて10台もの本棚には参考書や文献、整理されていない用紙がぎっしりと詰まっていた。
「スゴイ資料の数々デス!コレをインプットすればスーパー汎用アンドロイドになる事間違いアリマセン!」リィカは資料の数に興奮しながら言った。
「ちょっと、リィカ!あんまり勝手に触っちゃだめよ!」エイミが、まったくもう、と言いながらリィカに言った。
「ふふっ。いいのよ、エイミ。けどリィカ、また今度家に招待するから、その時にたっぷり本を見て行ってちょうだい。」ケイトがリィカに優しく言った。
「えーっと、確か本棚の一番奥に扉があるって言ってたよな?順番に効率よく動かすにはどうしたらいいかな?結構体力がいりそうだ。」アルドは本棚とにらめっこしながら唸った。
「アルド、待って。ここに確かボタンがあったはず・・・、」ケイトは入ってデスクと反対側に行き、壁をなぞる様に触ると、ガコッと音を立てて壁が開き、参考書サイズの空間には様々なボタンがついていた。
「あった!ここに0から9までの数字と赤、黄、青のボタンがそれぞれあるわ。数字は本棚のそれぞれの番号を入力するもの、色のついたボタンは、赤は前に1つ、黄は後ろに1つ、青は右に1つ動くわ。私が操作をするから、アルドは本棚からどの数字を動かせばいいか教えてくれないかしら。本棚の一番上の段の金色のプレートに数字が書かれているから、それを読んでくれたらいいわ。試しに一回本棚をうごかしてみるわね」ケイトはそう言うと、一番手前にある「3」と書かれた本棚を右に1つ動かした。よく見ると、一番手前の右端から若い数字が振られていた。
「なるほどな。よし、分かった、ちょっと待っててくれ」アルドは本棚と本棚の間に入った。
「えっと、確かケイトは奥の本棚の下に通路があるって言ってたな。・・・うーん、でも奥の本棚は全部埋まってるな、ってことはこの真ん中の空いてるところに1つ動かしてみるか」とアルドがぶつぶつ独り言を言っていると、
「お兄ちゃーん、大丈夫―?」本棚の向こうからフィーネの声が飛んできた。
「まさか、アルドさん、閉所恐怖症デスカ?」続いてリィカも尋ねた。
「大丈夫だよ!ケイト、真ん中の5番と6番の本棚の間が空いてるから9番をそこに動かしてくれ!」
「分かったわ!アルド、離れててね」ケイトは「9」とボタンを入力して赤いスイッチを押した。本棚は重みのせいか、ギギギッと車輪を軋ませながら前へ動いた。
「アルドー!どうでござったか?」サイラスが本棚の向こう側のアルドへ声をかけた。
「外れだったみたいだ!今度は8番を右に動かしてくれ!」ケイトはリモコンに「8」と入力し青いボタンを押した。がしかし、今度も外れだった。
「よし、今度は7番を右に!」ケイトがボタンを押すと、「7」の本棚は今までとは明らかに違った音を立てながら右に動いた。「7」の本棚があった場所には入口の扉と同じ長方形の透明な扉が現れた。唯一違ったのは真ん中に3センチほどの小さな長方形のくぼみがある事だった。
「おーい、みんな!扉を見つけたぞ!来てくれ!」アルドは早く見てくれとばかりに皆に声をかけた。
「アルド、無理よ!真ん中の本棚が埋まってるから動かさないと!」エイミが大声で返した。
「しかし、こうも本棚同士の間が狭いと、全員アルドの場所へは入れそうにないでござる。見張り役として拙者と誰かもう一人程ここに残った方がよさそうでござるな。」
「確かニサイラスさんの言う通りデスネ!ケイトさんは地下室に必須ですノデ、ここは私モ残ってお留守をシッカリお守りシマス!機械の操作モお任せくだサイ!」リィカがどんと胸を叩いて応えた。
「ありがとうございます、皆さん!お兄ちゃん、今そっちに行くからね!」フィーネがアルドへ向かって声を張り上げて言った。
「二人ともお願いね!」エイミはサイラスとリィカに声をかけた。
「ありがとう、サイラス、リィカ!それじゃあ私とエイミ、フィーネはアルドと一緒に地下室へ行きましょう!」ケイトはそう言い、リィカにボタンの操作方法を伝え、その後3人はアルドの元へ到着した。
「皆、揃ったな。早速だけど、ケイト、この扉を見てくれるか?」アルドは自分の足元にある扉を指さした。
「確かにこの扉だわ。こんなに小さかったのね。子供の時はもっと大きかったように見えたけど・・・。あ、このくぼみに私とジルのアクセサリーのパーツをはめてみれば動くかしら」そう言って、ケイトは二つのパーツをくぼみにはめてみた。すると一筋の光が金色の縁全体を駆け抜けたかと思うと、扉は横にスライドしていき、扉があった空間に階段が姿を現した。
「階段がずっと下まで続いてるみたいだな」
「でも奥の方は暗くてよく見えないわね、何かたいまつとか必要かしら?」
「階段の右横に丸いガラス玉みたいなものが埋まってるみたいだけど、これは何だろう?」フィーネが5段先の階段横を指さし皆に聞いた。
「あ、もしかしたら・・・」ケイトは急に階段を降りだし、フィーネが見つけた10センチ程の半球に触れると、ガラス玉の中に小さな光が踊りだし、やがてガラス玉の中は小さな光で満たされ、辺りを照らした。
「みんな、たいまつは大丈夫そうよ!この先にもガラス玉が埋まってるからちょっとの間なら私の光を蓄えられそう!」ケイトは3人に向かって笑顔で答えた。
「それなら一安心ね!じゃあ、私たちもケイトに続きましょう」エイミがそう言い階段を降り始めた。
「はい!なんだかドキドキしますね!」フィーネがエイミの後に続いた。
「サイラス、リィカ!今から行ってくる!留守番頼んだぞー!」アルドは本棚の向こうにいる二人に声をかけた。
「アルドもしっかり頼んだでござる!無事で帰ってくるでござるよ!」サイラスもアルドに向かって答えた。
「アルドさん、私たちにお任せくだサイ!お気をつけて行ってらっしゃい、ですノデ!」リィカも手を振り見送った。
一方、フェリシタンでアルド達の様子を伺っていた人物は、ミグランス城と負けて劣らず兵士がずらりと立ち並ぶ見事な王室の奥で、仰々しい椅子に座って足を組んでいる、がっちりとした体躯に深紅のマントを羽織り、鋭い目つきをした男に向かって、片膝をついて、事の出来事を報告していた。
「-以上、私が先ほどフェリシタンにて目撃した出来事のご報告です。ソロノフ国王」その人物は話終えると顔をすっと上げ目の前に座っている男を見上げた。話していた人物は神経質で青白く頬がこけているおり、肩までおりた髪の色も銀髪のせいで若そうな割には老けて見えた。
「巡回ご苦労だったな、ナーヴァ。そうか、町の住人が戻ってきたか。お前の家族が一人足りないと言ってなかったか、ジル?」ソロノフと呼ばれた男は、はすぐ横に整然と立っている薄紅色の短髪に翡翠色の目をし、立ち並んでいる兵士と同じ銀色の甲冑を着た男に話しかけた。
「はい。ナーヴァさんの報告ですと、私の姉で間違いないでしょうね。」ジルと呼ばれた男は特に何の感情もなく淡々と答えた。
「戦力は一つでも多い方がいい。特にお前たちは貴重だからな。あの町全体のエネルギー源を追々、こちらに安定供給できるよう開発を進めようと思っていたが、そう悠々と言ってられんな。この西地方、いやこの大陸全体を支配するには、一日でも早い方がいいだろう?ナーヴァ、ジル!開発は今どこまで進んでいる!?」ソロノフはナーヴァとジルに向かって怒鳴った。
「只今75%といったところです。こやつの光移送装置とやらが中々進まないせいで我々開発チームも仕事が滞っているのです!」ナーヴァは目を尖らせてひょろっと長い指をジルに向けた。
「ナーヴァさん、そんなにカッカしないで下さい。焦ってしても事は上手くいきません。ましては僕たちがエネルギーを使いすぎて倒れられる方が、もっと問題ではないですか?」ジルはナーヴァを鬱陶しそうに見ながら言った。
「おのれ、口を慎め!」ナーヴァはさっと杖を懐から取り出し、ジルに向けた。
「よせ、二人とも。ところで、ジルよ、あと25%はどのくらいで終わりそうだ?」
ソロノフは面倒くさそうに二人を制し、ジルに進捗を聞いた。
「そうですね、急いでやれば2、3日といったところでしょうか。ちょうど町に戻って、作業を進めようと思ってたので、姉もついでに連れてきます。」
「私も行こう。軽く運動をしたいと思っていたところだ。」ソロノフはマントを翻し自分の腰に当てている大剣を取り出しクククと低く意地悪く笑った。
「国王、私も行きます!皆の者、すぐに出発の準備を!」ナーヴァは並んでいた兵士に向かって命令した。
アルド達はケイト宅の地下階段をひたすら道なりに降りて行ってた。
「ふぅ、結構歩いたな。ケイト、まだ続き階段は続きそうか?」アルドは一番前にいるケイトの背中へ向かって尋ねた。
「そうね・・・、まだつづき、きゃっ!?」ケイトはいきなり短く叫ぶと暗闇の中に消え、ドサッと倒れる音が聞こえた。
「ケイト、大丈夫!?」ケイトの後に続いていたエイミは立ち止まってケイトが消えた辺りに声をかけた。
「ケイトさん!?どこですかー!返事して下さい!」「ケイトー、無事か!?」フィーネとアルドも追いつき暗闇の中を目をこらして探した。
「痛てて・・・、みんな、大丈夫よ!ちょうど光が途切れた所で階段が終わったみたい。みんな気を付けて!私はまた明かりを探すわ」ケイトは皆に向かって返事した。
「良かった。無事みたいだな。」「私たちも気を付けないとね」「はい、ゆっくり進みましょう」3人はそろそろと壁つたいに一歩一歩ゆっくりと階段を降りた。階段が終わり暗闇の中できょろきょろと首を動かしていると、パッと奥の方で光が灯った。
「みんな、お待たせ!明かりはたぶんこれしか無さそうね」ケイトはぼんやりと浮き出た空間を見渡した。そこは殺風景で粗削りした動物の巣のような場所で、真ん中にはちょこんと宝箱が置かれていた。
「宝箱以外は何も無さそう。中身は何だろう?」フィーネは宝箱に顔を近づけて眺めた。「お、おばけとか言わないでよ!?」「それは無いんじゃないか!?」「そうね、宝箱も入口の扉と同じ長方形の穴が開いてるわ」ケイトが宝箱の穴に再度アクセサリーをはめると、宝箱はカチリとゆっくり音を鳴らした。ケイトは一呼吸置き箱を開けると、そこには白い光を帯びた細見のブレスレットと、白い光をまとったひし形のネックレス、あと手紙が添えられていた。
「綺麗なブレスレットとネックレス・・・、それに、この手紙は?」ケイトは手紙の封を切り読み始めた。
“愛するケイト、ジル
この手紙を読んでいるという事は、私たちはあなた達を守れなかったのね。無力な父と母でごめんなさい。けれど、いつか来る災いに備えて、私達があなた達に何か残してやれないかと思い、この2つを作りました。ブレスレットには「一心の希望」を、ネックレスには「生命の祝福」を授けてあります。あなた達がこの先何があっても困難を乗り越えられると信じています。どうか、前を向いて生きて、必ず幸せは訪れます。最後にケイト、ジル、ずっと愛しています。
あなた達の父、母より“
「うわぁーーーーん、お母さーーーん、お父さーーーん!!」ケイトはその場にうずくまり、声を上げて泣いた。フィーネはケイトへ駆け寄り、背中を優しく撫でた。
「ケイトの父さんと母さんは凄いな・・・、ちゃんと二人が困らないようにこんな物まで残しておいてくれていたんだな」アルドは目に涙を浮かべながら話した。
「ケイト・・・、辛いわよね・・・、分かるわ」エイミは拳をぎゅっと握り下を向いた。
暫くして、ケイトはすっと立ち上がり「ごめんね、みんな。こんなみっともない姿を見せて。フィーネもずっと付き添ってくれてありがとう。おかげでだいぶ落ち着いたわ。私は絶対皆を、町の平和を取り戻してみせる!」と伝えた。
「あぁ、もちろんだ!」アルド達も頷いた。
ドオォォォーーーン
いきなり何かが爆発したみたいな音が上から聞こえ、砂や石がパラパラと降ってきた。
「なんだ!?凄い音が聞こえたぞ!」「サイラスとリィカは無事かしら!?」「急いで戻らないと!ここも危ないわ!」アルド達は階段を急いで駆け戻り、書斎に着くとアルドは大声で二人に無事か声をかけた。
「ハッ!コノ声はアルドさん!皆サンご無事デスカ!」
「リィカー!こっちは皆無事よ!」エイミが本棚の向こうから答える。
「良かったデスノデ!今本棚を動かしますノデ!」リィカはボタンを操作し、アルド達と合流した。お互い無事を確認しあうと、「あれ、サイラスがいないわ」ケイトはリィカに尋ねた。
「サイラスさんは先ほどの爆音が収まった後、外の様子を見に行かれマシタ!すぐ戻ると言っていましたガ」
「サイラス一人じゃ危ない!すぐに追いかけよう!リィカ、どっちの方向へ向かった?」
「確カ町の入り口ノ方ヘ向かったはずですノデ!」
「皆は先に行って!私はリックに乗ってすぐ追いつくから!」
「分かった!」アルド達は急ぎ町の大広間を抜け、大通りを町の入り口へ向かって走った。するとすぐにサイラスが物陰に隠れているのを発見した。
「サイラス、無事か!」アルドはサイラスに駆け寄り、声をかけた。
「アルド!皆も無事でござったか!今ちょうど爆音がした辺りを偵察しておったら、どうやら敵が現れたようでござるよ」サイラスは前を見据えながら言った。アルド達はサイラスの視線の先を追うと、馬に乗った鈍く光る銀色の甲冑たちが目に入り、だんだんと近づくにつれ数が膨れ上がっていくように後ろから続々と列が続いていた。その時、ちょうどリックに乗ったケイトがアルド達に追いついた。
「サイラス!無事でよかったわ!・・・ん、あれは!」ケイトは皆が見ている方向に目をやると、何かに気づいたのかそのまま軍隊の列に走って行った。
「待て!ケイト!無茶するな!」アルドが後ろから声をかけたが、ケイトの姿はみるみる小さくなっていった。
「ケイトの顔、すごく驚いてるようだったわ。何かあったのかしら」
「分からんでござるが、敵にこちらの居場所がばれた以上、隠れていても仕方ないでござるな。出来るだけ穏便に済ませたいが、どうなる事やら」
「ケイトさんが捕まっちゃうかも!急いで追いかけましょう!」フィーネはそう言い、アルド達もケイトの背中を追って銀色の軍隊の方へ足を急いだ。
「おや、一騎こちらに向かって来る者がいますね。」先頭の列に立っていたナーヴァが、前方から馬に乗ったケイトの姿を見つけ、真ん中にいるソロノフ国王に声をかけた。
「あの、特徴的な髪色はもしやお前の姉ではないのか?」ソロノフは左横にいるジルに尋ねた。ジルはじっと前を見つめ、「そうですね、私の姉です」とだけ答えた。
「わははははっ、わざわざ出迎えてくれるとはな、弟思いの姉ではないか」ソロノフは馬鹿だと言わん限りに愉快そうに笑った。
「ジル!ジルなんでしょ!?無事そうで良かったわ!」ケイトはジルをはっきり見える位置まで行くと、リックを止めて叫んだ。
「姉さん、久しぶりだね。俺は変わらず元気だよ、そんな事より何でのこのこと現れたんだ?この軍隊の数が目に入らないのか?」ジルも馬を止め、前方にいるケイトへ怪訝そうに言った。
「私はあなたや町の皆を助ける為に戻ってきたのよ!ジル、こんな奴らにいいように使われて、辛かったわね、私がすぐ助けてあげるから!」
「こんな奴とはなんだ!この方は一国の王、ソロノフ様であらせられるぞ!口を慎め!」ナーヴァがカッとなり杖をケイトに向け途端、杖の先端から龍の形をした黒炎が口を大きく開けケイトに襲い掛かってきた。ケイトは剣を抜いて応戦しようとしたが龍のスピードが増しケイトの目前に炎が迫ったその時、
“サンクトゥスレイ”間一髪でリィカがハンマーを思い切り振り、白い閃光が黒炎の龍を打ち消した。「ケイトさん、お怪我はありませんカ?」「大丈夫よ、リィカ、ありがとう!」
「リィカ、よくやった。お前たちがこの町の人を襲ったのか!?」アルドはケイトの無事を確認すると、敵の方へ向き直りさっと剣を構えた。
「何だ、貴様ら。命が惜しくば今すぐここから離れることだな。」ソロノフは興味もなさそうにアルド達を見た。
「ソロノフ様、奴らが先ほど報告した者たちです。」ナーヴァが杖を構えたまま、伝えた。
「ちょっと、あんた達、町の皆をどこへやったの」エイミが今にも飛びかからん勢いで言った。
「そなた達も命が惜しくば、大人しくするでござるよ。」サイラスがキッと相手を睨み刀を構えた。
「ふん、多勢に無勢とはまさにこのこと。よっぽど頭が弱いようだな、貴様ら。この100人もの兵士を見てよくそんな強気でいられるな!」ナーヴァはイライラしたように、兵士の軍勢をみても臆せずにいるアルド達を見た。
「よいのだ、ナーヴァ。確かに手荒な真似をしてしまった事は詫びよう。この町の者なら我が国で手厚くもてなしている。そなたはジルの姉上というではないか。ぜひ我が国の力になって欲しい。」ソロノフは恭しくケイトへ言った。
「誰があんたなんかの力になるもんですか!ジル、早くこっちへ来るのよ。私があなたを守るから」ケイトはジルに向かって手を差し出した。
「助けはいらないよ。俺が望んでこちら側にいるから。」
「何を言ってるの、ジル?」
「俺が国王様へお願いして、エアガイツ国の住人として受け入れて貰ったんだ。もちろん、この町の皆を攫う計画を立てたのも俺さ」
「あなたがこいつらの国へ入る事をお願いした?・・・この町の襲撃を企てたですって?ジル、本当にさっきからどうしたの?あなたはそんな事言う子じゃなかったでしょ!?」ケイトは目の前にいる弟が、まるでジルの皮を被った別人と話しているようで酷く頭が混乱した。
「姉さんこそ、今まで俺の何を見てきたのさ。何も分かっちゃいない。俺の考えてる事なんて分かりはしないさ。」ジルは心底がっかりしたように言った。
「姉弟水入らずのところ悪いが、何分先を急いでいるのでね、こちらに付く気がないなら力づくでついて来てもらうことになるが」ソロノフが眼をギラリと光らせケイトを見据えた。
「お前が!お前がジルに何か吹き込んだわ、許さない!」ケイトは怒りで体を震わせ、剣をさっと抜くと白い斬撃を放った。ソロノフに届いたと思ったその時、ジルが間に入りケイトの技を両腕で受けた。
「大丈夫ですか、国王様!」ジルは腕の傷を治しながらソロノフの前へ出て、ケイトをまっすぐに睨んだ。
「おい、貴様!つまらん姉弟喧嘩にソロノフ様を巻き込むな!」ナーヴァはジルに向かって杖を突き付けた。
「ははははは。理解が足りない姉を持ってお前も苦労するな」ソロノフは愉快そうにケイトとジルを交互に見た。
「ソロノフ様、申し訳ありません。姉さん、次攻撃をしたら俺も本気でやるよ」ジルは右手に白い光をみるみる増幅させそれは次第に白い電気なようなものを帯び始めた。
「どうしてなの・・・ジル・・・」ぽつりと言い、ケイトはジルの言動に呆然とし何も考えられずにいた。
「ジル、ここで余計なエネルギーを使うな。他の兵に任せておけ。さっさと行くぞ」ソロノフは飽きたのかすぐに馬を前進させ町の奥へと進んだ。
「お前たち、この女を捉えておけ、他の者は好きにして構わん。」ナーヴァは後ろに控えていた兵士たちに向かって命令しソロノフの後を追いかけた。そしてジルももう何も言わず、馬を走らせ奥へと消えていった。
「待って!ジル!」ケイトは、ハっと我に返り、ジルを追いかけようとした時、兵士たちが遮りたちまち何層もの厚い壁となり行く手を阻んだ。「お前を連れて行けとの命令だ。皆の者捉えよ!」銀色の甲冑が波のようにケイトに押し寄せてきたその時、
“エックス斬り・改”“円空自在流・蒼破”
アルドとサイラスが技を放ち、赤と青の斬撃が瞬く間に兵士たちを一掃した。
「大丈夫か、ケイト!絶対にあいつ等に渡したりなんかしないからな!」アルドがケイトの前に立ち剣を構えた。
「やはり、穏便にはいかんようでござるな。お主ら、刀の錆となるでござる!」
「全力で行くわよ!あんた達覚悟しなさい!」
「敵性勢力、排除開始しますノデ!」
「ケイトさん、私達が守ります、安心してくださいね!」
「皆、ありがとう!ごめん、こんな時にボーとして。みんな少しの間敵を引きつけてくれる?いい事思いついたの!」
「また森にいた時みたいに無茶しないだろうな」アルドは森で自分を庇ったケイトを思い出し心配になった。
「大丈夫よ!アルドの心配するような事しないわ!」ケイトはアルドにしっかりと頷き胸の前で手を合わせた。
「よし、分かった!みんな絶対こいつらを食い止めるんだ!」全員頷きそれぞれ敵と交戦した。
「くっ、こやつら、なかなかいい腕をしているようでござるよ。それに切っても切ってもすぐ立ち上がってくるでござる!」サイラスが敵と剣を交えながら渋い顔をした。
「本当そうね!ゾンビみたい!こっちの体力がやばいかも!」エイミは槍をかわしながら、拳を相手のみぞおちに拳を叩きこんだ。
「コノ甲冑の方たちカラ、微量ながらこの町と同エネルギーを感知しましたノデ!恐らく既に、アチラ側へ利用されているモノと思われますノデ!」リィカはハンマーを振り回し敵を蹴散らしたが、甲冑の兵士たちはまたむくりと起き出した。
「お兄ちゃん、どうしよう!どんどん押され始めてる」フィーネが魔法で攻撃をするも兵士は甲冑で受けとめ、数十秒ほどでまた動き出した。
「確かにかなり手ごわいな、くそっ、どうする!?」アルドは自問し必死に状況の打開策を探った。すると後ろから、
「みんなー!そこから離れてー!!」アルド達は後ろを振り返ると、ケイトが顔も見えない位膨れ上がった光のエネルギーを空に向かって思い切り両手を広げて投げた。大きな光の塊は次第にフワフワと雪のように風に乗って四方八方へ飛んでいき、アルド達の頭上へと降りてきた。
「とにかくこの隙に一旦離れよう」アルド達は、兵士たちが雪のような光に気を取られている隙に、急いでケイトの元へ集まった。
「ケイト、一体何をしたの?」エイミがケイトに尋ねた。
「大丈夫!絶対成功する!」ケイトが謎の自信をもって敵の様子を伺っていた。すると雪の光に触れた兵士たちが口々に「凄い!どんどん体力が回復していくぞ!」「この甲冑より回復が早いぞ」「こっちもだ!おい、みんなこの光に触るんだ!」兵士達は次々に口伝えしていき、しまいには我先にと光を求めて空に向かって手を伸ばした。
「おい、ケイト大丈夫か!あいつらどんどん元気になってるみたいだぞ」アルドは目の前で敵がだんだんと元気になる様子をみて心配になっていった。
「ふふふ・・・、掛ったわね」なおもケイトは一人、余裕で事の次第をじっと見ていた。元気になってった兵士たちは次第にふらふらと歩きだしたり、陽気に笑いあって肩を組みだし、アルド達など忘れたかのように、どんちゃん騒ぎを始めた。
「これってもしかして、ペポリにかけた回復魔法ですか!?」フィーネが目の前の光景に驚きを隠せないままケイトに聞いた。
「えぇ、そうよ。私、回復魔法苦手だから、こんなところで役に立つなんて思わなかったけど」ケイトはちょっと恥ずかしそうに笑った。
「・・・なんだか一気に気が抜けたわ・・・」エイミがガクッと肩を落とした。
「いやはや、自分の短所を長所に変えるとは、ケイト殿お見事でござる!」サイラスは刀を鞘に戻しながら快活に笑った。
「ケイトさん、お見事ですノデ!」リィカは目を光らせてケイトへ礼を言った。
「何はともあれ、結果オーライだな!ケイト助かったよ、ありがとう」
「ううん、みんなが居なかったら、今頃どうなってたか・・・うぅ・・うわーーーーん」ケイトは急に後ろを向いたかと思うと、弾けたように泣き出し、フィーネがそっと肩を抱きしめた。
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