夜鳴き

 二月のカラスは、かしましい。

 いつも大体、この時期に、夜中に「クワクワ」鳴き喚く。


 夜中零時を回る頃、決まって「クワクワ」鳴き喚く。


 向かいのビルの屋上に、一羽がたむろし夜鳴きする。すると、どこから聞いたのか、応えるように「クワクワ」と、どこか遠くで鳴き返す。


 気付くと数羽まとまって、揃って「クワクワ」鳴きながら、近所の夜空を飛び回る。くるりと旋回してるのか、近づく夜鳴きがコンクリの、壁に反響し始める。

 おやおや、ご近所迷惑だ。

 しかし、素早く遠ざかる。

 遠くで「クワクワ」鳴き続け、何度か上空旋回し、やがて電車の走行に、紛れて遠くへ飛んでいく。


 今夜もカラスは夜鳴きする。

 はたと気付いて時計を見ると、夜中零時を過ぎている。


 これはいかんと立ち上がり、ノートPCノートの電源落としたわたしは、いそいそベッドに潜り込み、夜鳴きを遠くに聞きながら、すぅっと、しじまに溶けていく。


 カラスの預かり知らぬ間に、夜鳴きはわたしの夜更かしの、バイオリズムの修正を、そっと担ってくれている。



——————

 毎年、大体二月に入ると、近所のカラスは騒がしくなります。

 一応、繁殖期に入るそうなので活発になるのも頷けます。

 そして、カラスはとても朝に強い生き物だそうです。人間にとっては真夜中でも、カラスにとっては早朝ということは、よくある話らしいです。

 カラスが起きる頃、わたしは眠りにつくのです。それでは、おやすみなさい。

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