ぴょんぴょんダッシュ

 某駅南のロータリー、肩をすくませバスを待つ。

 今日はゴミの日、ご飯の日。空にはカラスが、そこ、ここに。数羽まとまり、行ったり来たり、縄張り巡回ご苦労様と、ビルを見上げて、欠伸あくびを一つ。


 カー、カー、ほらそこ、突っつくぞ。

 待て、待て、勝手に持ってくな。


 駅ビル周辺、大騒ぎ。

 行き交うカラスに目もくれず、手元のスマホに集中すれば、視界の端をぴょんぴょんと、小さな頭が見え隠れ。


 おや、と思って顔上げて、じっと見つめた、その先は、ロータリーの真ん中に、堂々寝そべるモニュメント。ステンレス製の一本線を、カラスが一羽、行ったり来たり。

 ぴょんぴょん跳ねる黒頭、手前の植木の合間から、ちょいちょい楽しく見え隠れ。


 カツカツ、爪音響かせて、ぴょんぴょん端まで飛び跳ねる。くるっと回って向きを変え、これまた、ぴょんぴょん飛び跳ねて、反対側へと移動する。


 何が一体楽しいのやら、頭上の仲間に目もくれず、カラスは一羽でぴょんぴょんと、行ったり来たりを繰り返す。


 小さな頭が飛び跳ねて、植木の切れ目で、おはようさん。


 じっと見つめる、その先で、とうとうカラスが現れた。ピタッと止まった大きなカラスは、器用に片足上げたまま、くるりとこちらを振り向いて、慌てて、ぺとぺと走り出す。

 カラスはどうやら、小器用に、ぽっぽと交互に足出して、鳩の真似して走るらしい。


 ぺとぺと響く足音が、やがて端まで辿り着く。植木に隠れたその向こう、ばさりと音させ飛び上がる。素知らぬ顔してビルの上、真っ直ぐ斜めに飛び上がる。


 食事の前の運動か、飛んだカラスが「カー」と鳴く。つられて仲間も「カー」と鳴く。あちらのビルでも「カー」と鳴き、数羽まとまり「カー」と鳴く。



——————

 朝から、楽しいお遊びを見せてもらいました。

 たくさんカラスが集まる場所でも、やっぱり一人で遊び始める子がいるって、何だか微笑ましいですね。

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