復讐にむかったら事件に巻き込まれた件

@aoyama01

序文

 特急列車には血の匂いが充満していた。もう慣れて気に留めない。

 車両には二人人の私服の男と、四人の機動隊のような恰好をした男が居た。四人は同じ顔をして、似た体格をして、同じ髪形をして、同じ格好をしていた。列車の後部には、爆弾が仕掛けられている。

 僕はそいつらを背後から座って眺めている。

 四人が各々に何か言い、どれかにノイズがかかる。

 この中の誰かが嘘をついている。僕は睨むようにそれを見ていた。

 通路には針金のようにスーツを着た背が高く細い男と、パーカーを来た僕と同じくらいの年齢の小さな男が居た。二人は何かを話していたが、スーツの男が僕の方に歩いてきた。

「夏目、すまないがこちらに来てくれ」

 頷き、立ち上がる。

 車両全体が良く見えた。車両前方には小さなヒガンバナのような血のシミが見える。その横の扉からは、ガラスを通して人の足が三人分見えた。

 列車で三人死んだ。

 死んだ男もみな同じ顔だった。

 僕は、嘘を聞き分ける耳を手に入れた。

 そして、僕の復讐相手がこの中に居た。七年前の銃乱射事件の真犯人がここにいる。

 本当に殺すべき相手がここにいる。

 僕はスーツの男に連れられて、隣の車両に移動する。

 誰が誰を殺したかすらわからないまま列車は終着駅、東京駅に向かう。

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