もうすぐ転校

「俺さ、もうすぐ転校するんだよ」

「え……」

学校の下足室で打ち明けられてしまう。あまりにも突然のことで、僕は困惑してしまった。


「なんか、いきなりこんなこと言って悪いな」

「まあ、そうだな……。ほんとにいきなりだな……」

まだ状況を飲み込むことができない僕の返しは終始困惑したものになってしまう。僕の反応が思っていたものと違うからか、彼は少しムッとした。


「お前反応悪くないか? もうすぐ転校するんだぞ? 少しくらい寂しがったりしろよ」

「そう言われても……」

寂しいという感情よりも、突然のことへの困惑の感情が大きく勝ってしまう。


「もっと何かあるだろ、言うべきことが!」

仕方がないので、僕は今言うべき言葉を伝える。彼が求める言葉ではないだろうけど、僕が一番伝えたいことだ。


「えっと……、初めまして」

クラスはもちろん、多分学年も違う彼とは今日初めて会話をしたのだった……。


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