聞き間違い
「ねえ、わたしが欲しい物聞かれたときになんて答えたか、ちゃんと覚えてる?」
半月ほど前、誕生日の直前に何が欲しいか聞かれたときに、わたしは「ダイヤが欲しい」と答えたのだ。だけど、多分彼は何か間違えている。
わたしの質問に、彼は大きく頷いて答える。
「もちろん覚えてるよ。だから毎日、君が喜ぶと思って送っているんじゃないか」
「そうよね、毎日わたしの家に届いているものね……。本当にあなたはお金持ちだは思うわ……」
彼はかなりの高収入だから毎日送り続けるなんてとんでもないことができるのだろう。
「君が喜んでくれると思って1年間毎日送り続けてあげることに決めたんだ、タイヤを」
「……」
わたしは頭を抱えた。もし彼がタイヤとダイヤを聞き間違えなかったとしてもダイヤが365個もあっても売る以外に用途がないでしょ、と突っ込んでいただろう。だけど、今家にあるのはそれ以上に厄介な、どうやって保管すればいいのかわからない大量のタイヤ……。
「1年間毎日……」
これからも送られ続けてくるタイヤのことを考えて、わたしは大きなため息をついた。
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