冬休みのとある日

とあるアパートにタヌキとキツネの少女が同棲していた。高校に通う時には人に化けているのだが、今日は冬休み。タヌキの少女は一人でゆっくりくつろいでいた。

「いやぁ、やっぱり一日中家にいたら化けなくても良いから楽でいいねぇ」


のんびりと座布団の上で丸まって寝ていると、一緒に住んでいるキツネの少女が帰ってくる。

「ちょっと、家にいる時だからってそんなリラックスしてないでください!早く人の状態に戻ってくださいよ!」

帰ってきたキツネの少女が慌てているが、タヌキの少女はのんびりと答える。


「えー、いいじゃん。家にいるときくらいのんびりしようよ」

「普段は良いですけど、今日は――」

「え、家にタヌキいるじゃん! 大丈夫?」

キツネの少女の後ろからクラスメイトが入ってくる。タヌキの少女はキツネの少女が言っていた言葉の意味を察した。そして2人は目を合わせて硬直した。


少しの沈黙の後、キツネの少女が口を開く。

「な、なんで家に野良ダヌキがいるのでしょうかー? こらー、野良ダヌキ、出て行きなさーい!」

棒読みで言いながら、突然近くにあった箒を持って振り回しだした。

「え、嘘でしょ!?」

キツネの少女の突然の行為に困惑しながらもタヌキの少女は言われるがままに部屋からでていった。


☆☆☆☆☆


その夜。


「箒振り回しながら野良ダヌキ出て行けって酷いよ!」

少女はタヌキの状態でキツネの状態の少女に泣きついた。

「だ、だってあの場面はそうやって切り抜けるしか……」

おかげで無事に正体はバレなかったが、多大なる精神的なダメージを負ってしまった。


「今日からしばらくお昼はたぬきそばだからね! キツネうどんは食べないから!」

「まったく、それで済むなら安いことですし良いですよ……」

かくして2人はしばらくの間たぬきそばを食べ続けることになるのだった……。

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