優しく育てる

植物に優しい言葉をかけるとすくすくと成長して綺麗な花を咲かせると聞いた。植物にも心はあるということを知り、私は観葉植物に優しい言葉をかけて育てることにしたのだ。


「おはよう!」

「今日も綺麗に咲いてるね!」

「いつも癒してくれてありがとう!」

そうやって声をかけ続けていると、やはり観葉植物はすくすくと成長してくれていた。


そんなある日のことだった。急いでいるときに思わず観葉植物の鉢に足の小指をぶつけてしまった。

「痛っ! ちょっと、邪魔だって!」

痛みと焦りで思わず観葉植物に当たってしまった。酷い言葉をかけてしまい、私は慌てて言い繕う。

「あ、ごめんね。違うの。思わず酷いこと言っちゃって……」


すると突然声がする。

「そんな謝らなくても大丈夫っすよ!」

1人暮らしの部屋で突然声が聞こえてきて慌てる。

「だ、誰??」

見渡しても当然人はいない。


「俺は観葉植物っす! 観葉植物は寛容なんでそんなことで怒らないっすよ! さあ、急いでるなら早く出掛けたほうがいいっすよ!」

「あ、うん、ありがとう……」

観葉植物が突然喋ったことも、変なダジャレを言っていたことも気になったが、私も細かいことは気にせず寛容になったほうがいいのかもしれない。

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