そして・・・・・ずっと・・・・・

雪追舞

第1話 初恋

れんくんは私の初恋の人だ。

蓮くんはバスケ部のエースで運動神経はいいし、成績はいつもトップクラスだ。

私なんか相手にしてくれるわけがない。

告白どころか、同じクラスなのにまともに声すら掛けられない。 


蓮くんとは一年の時からのクラスメイト。

つまり私は二年間ずっと片思いだ。

ちなみに蓮くんという呼び方は心の中でだけ。

現実には『柊木ひいらぎくん』としか呼べない。


中学三年の新学期が始まった初日、私、綾瀬優菜あやせゆうなは教室に張り出されたクラス替えの生徒表を覗き込んだ。


そこの同じ表の中に柊木蓮の名前を見つけた。

私は心の中でガッツポーズをした。

これで蓮くんとは三年間同じクラスになる。

でも、だからといって自分と蓮の関係がこれ以上近づくわけではない。


近づける勇気も持ってない。

それは私自身が一番よく分かっていることだった。


「よう綾瀬、また同じクラスだな」

後ろから来た蓮くんが声を掛けてきた。

いきなりでびっくりした私は胸がいっぱいになる。 

「うん。そうだね…」

その一言で会話がおわる。


もっと話がしたかった。

それなのに胸の想いが詰まって言葉が出て来ない。

なんという運の無駄使いだろう。

運の神様に怒られそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る