人魚姫異端話

紗里菜

第1話 人魚姫への思慕

 王子様を守るかわりに泡になる人魚姫のお話には誰も知らない話があります。


 第3王女は王子様と同じく海が好きなはねかえり娘でした。


 泳ぐことがなにより好きな彼女は人魚姫とは逆で人魚になりたかったのです。


 王家のためどこか異国の貴族の家に嫁ぎ、大抵は愛のない生活をするというそんな現実に気づいた日から乳母がよく話してくれた人魚の話に惹かれるようになりました。


それに、音痴で歌に自信のない彼女には人魚の歌声は憧れのまとでした。


 だから、最初は素晴らしい歌声を持つ女性に扮した魔女に憧れました。


 ところが、異国に嫁ぐ予定で、この国にはなんの権限のない王女をけんもほろろに馬鹿にする魔女の態度に傷つけられました。


 そんな時に口もきけない人魚姫が静かに王女に寄り添い、人魚姫の眼差しが彼女にだけ聞こえる優しいメロディを奏でました。


 それから時間があれば人魚姫につきまといましたが、大好きな王子である兄との時間の邪魔されても優しく微笑んでくれる人魚姫の声にならない歌から全ての事情を知るのです。 


 まず、王女は王子様に人魚姫の魅力を語りますが、完全に魔女に骨ぬきにされ騙されている王子様はまったく聞く耳を持ちません。


 そこで、王女は海に行き、大声で人魚姫を助ける方法について叫びます。


 王女の想いに気がついた人魚姫の姉から王子様を剣でさせば彼女は助かるけれどもそれをしないと人魚姫は泡へとかえると教わります。


 恐らくは、王女のためにも兄である王子を殺すことはできないとききます。


 一瞬は目の前が真っ暗になる王女でしたが、今自分にできることを一生懸命考えてある秘策を人魚姫の姉たちに託すのでした。


 


 

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