第24話隠された目的
樹は授業を終えて急いで家に帰りさっき録音した会話のデータをスマホからUSBに移した。
「千鶴急いでこっちに来てくれ!」
「はい、お兄様!」
千鶴は早足で樹の部屋に入った。
「どうされました、お兄様!」
「もしかしたら、理事長の尻尾を掴んだかもしれない!」
「本当ですか!」
「ああ、とりあえずこれを見てくれ」
樹はそう言って再生ボタンを押した。
すると真っ暗な、PCの画面から会話の声だけが聞こえてくる。
しばらくして、その会話を聞き終えると横に立っていた千鶴が少し唖然とした表情をしていた。
「ちょっと出かけてくるよ千鶴」
「どこへ行かれるのですかお兄様?」
「ちょっと出かけてくるだけだよ」
「だから千鶴はここで留守番しててくれ」
樹はそう言って足を玄関の方に向けると。
千鶴がグット強い力で樹の右手をつかんだ。
「どうして俺の手を掴むんだ?」
樹は千鶴の方に顔を向けて、そういった。
「お兄様赤身屋家に行こうとされてますよね」
千鶴は今にも泣きそうな顔でそういった。
そう、俺は今千鶴の言う通り赤身屋家に行こうとしている。
千鶴を置いて。
あそこに千鶴を連れていけば義理のお母さんに暴力を振るわれていたことを思い出すと思ったからだ。
あの家にはそういう空気が張り巡らされている。
千鶴はそれを察してこんな悲しい顔をしているのだろう。
また、俺に置いていかれると思っているのかもしれない!
「あたくしも一緒に連れて行ってくださいお兄様!」
「わかったよ一緒に行こう」
「カルビン、ベルモンド行くぞ!」
樹はあえてどこに行くのかは告げなかった2人がなんというのか知っていたからだ。
「どこまでもお供致します!」
「どこまでもお供致します!」
2人は膝をつきながら胸に手を当てて、口を揃えてそういった。
「ロゼとカルマンは夜ご飯を作って待っててくれ」
「了解です」
「了解です」
2人も同じように口を揃えてそういった。
「あ!そうだカルマン、ベルモンド一応これを持っといてくれ」
そう言ってズボンのポケットから2つ、小型の黒い色の機械を取り出して2人に手渡した。
「樹様この機械はいったい?」
「それは俺が前に作った、GPSだよ」
「俺に何かがあったらその機会が俺の服についてる発信機を通して教えてくれるんだよ」
「念のため、千鶴もつけといてくれ」
そう言って樹は千鶴に発信機を手渡した。
「ありがとうございます、お兄様」
千鶴はほっとした表情でそういった。
「それじゃあいくぞ、真実を突き止めに!」
「はい!」
千鶴たちはそう言って家を出た。
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