獣人に人権はありますか?

昌治ゆう

第1話 独り立ち

サング国ホダ村



俺は今日で16歳になった。兄貴達の背を抜かし男らしい身体つきにもなった。


「アイビや、誕生日おめでとう。本当に行ってしまうのかい?」


「ありがとう母さん。やっぱり今日じゃなきゃ俺の決意は揺らいでしまうと思う」


俺の育ったホダ村では、誕生日に何か新しいことを始めると上手く続くという言い伝えがある。俺は16になった今日、村を出て冒険者になる。


旅の準備が整い、心配そうにしている母に目を向ける。こんなに小さかったっけ。そっと丸い腰に手を当てて、静かに深呼吸をした。母の鼓動が聞こえて来る。次会えるのはいつだろうか。旅立つ前にこんなことを考えるのはまだ子どもなんだろうな。


「行って来るよ父さん」


小さな写真に話しかける。冒険者の父は行方不明になって5年。早かったのか短かったのか。


「母さん、兄貴達にもよろしく伝えて。じゃあ、いってきます」


パンパンのリュックを背負い、俺は故郷の外へ足を踏み入れる。まるで遠足気分かのように心は高鳴る。でも俺はまだ知らない。



ホワイトタイガー族の獣人である俺が外の世界ではどんな目で見られるのかを。

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