超美少女が俺の家にホームステイしに来たんだが

永塚最中

第1話 まさかの手違い

プルルル プルルル プルルル


『今料理中なのに‥』




俺はゆでたまごをゆでたまま、音のなる方へ向かう。


『もしもし。小泉ですが』



『もしもし。何故来てくれないんですか?』



ん?来てくれない?俺を待ってくれる女の子なんていたっけ?



『失礼ですが。どちら様でしょうか?』



『はい?本間(ほんま)ですが?』



『本間さんですか‥‥恐らく間違ってここに電話を掛けていると思いますよ 』




『あ、本当ですか?すみません‥では ‥‥』



『はい 』



ガチャ


間違い電話か。誰かを待ってたっぽいけど大丈夫かな。


ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『あ、やべ。茹ですぎた!』



今日の少し遅めの昼御飯はゆで卵と納豆とご飯

だけ。諸事情あって親と離れて、一人暮らしをしているものの、もともとお金持ちではないため、昼御飯を豪勢にすると食費がかさむ。だからといって朝と夜も同じようなものしか食べてないけどな。



『いただきます』


俺は最初に納豆を混ぜ、炊きたてのご飯に乗っける。あつあつご飯と冷蔵庫でキンキンに冷やされた納豆のコントラストは絶妙。上手すぎる。


コツコツ

んー。今日のたまごの殻は剥きにくいな。茹ですぎたからだろうか。でも、味に問題ないから大丈夫か。


『ごちそうさまでした』



俺は食べ終わったらすぐにキッチンで皿洗いをする。

以前一度だけ後回しにしたら、洗うのが凄い面倒臭くなって結局1ヶ月くらい放置してしまい、キッチンがごみ捨て場と化してしまった。片付けるのに1日もかかり余計面倒くさい事態を引き起こしたので、改過自新したのである。


皿洗いが終わり、ソファに座って寛ぐ。

テレビをつけると、隣県の海の特集が放送されていた。もう夏かー。そう言えば最近暑くなってきたもんな。まだ6月の真ん中なのに遊泳できるのか。ってもどうせ去年と同じようにずっと家にいるだけだろうな。

まあ、家で涼みながらゲームしたり本読んだりするのも十分楽しいからな。いや、寧ろ至高。まず夏=アウトドアって考えがおかしい。みんな暑いのが嫌いなくせに、灼熱の太陽が照らす場所に出ようとするんだよな。ネコがネコよけのペットボトルに近づいていくようなもんだぞあれ。


少し遅めの昼御飯を食べてから1時間ほどたっただろうか。テレビにも飽き始め、眠気が襲ってくる。


『まあ、明日も休みだし寝るか。』


俺はソファに置いてあるクッションを枕にしようとクッションを取ったとき


ピンポーン


インターホンが鳴った。



『いつもいいときにくるんだよな‥‥‥』



俺は重い体を起き上がらせて玄関へ向かう。



ガチャ



オレンジ色に満ちた空とその光に斜めから照らされる住宅街がそこにあった。こんなありふれた光景が、いつもと違うように感じられたのは

一人の少女がそこにいたからだろう。

風になびき、日の光でオレンジ色に染まったトパーズのような髪。オーロラのように青い目。透明感のある白い肌に良く映えている。

彼女はクレオパトラでさえ比べるのもおこがましいと思うほどに端正な顔立ちをしていた。


『こんばんは』



『こ、こんばんは』



綺麗な声に言葉が淀む。



『ところで君は?』




『本間です。本間(ほんま)明里(あかり)』




本間か‥‥ってあの電話の女の子か?



『き、君って、お、俺とさっき電話したきょ?』



やべぇ、焦って噛みまくっちゃったよ。


『えーと、恐らくしてないと思いますが‥‥

あっ、まさか間違い電話の人ですか?』


なんか俺が間違え電話掛けたみたいになってるんだけど。


『ああ、そうそう。間違い電話の人 』




『まさか!間違い電話の人が叔父さんの息子さんだったなんて思いもしませんでしたよ。ってことはもしかして私が来ることを知らなかったんですか?』


ん?おじさんで誰だ?微妙に会話が噛み合ってないきがするんだが‥‥‥



『ああ、あの~ 1つ質問なんだけど、おじさんって誰?』


すると彼女は頓狂な顔で言う。



『叔父さんは叔父さんですけど‥‥ああ!あなたのお父さんと言うことです!』



この子の叔父さんが俺の父さんってことは、俺はこの子のいとこってこと?こんな可愛いいとこいたのかよ


『いや、俺親と離れて暮らしてるんだが‥‥』





『え?じゃあ叔父さんはここにいないと?』



驚いたように言う



『ああ、そういうことになるな。父さんに用事なら今電話しようか?』



『はい、よろしくお願いします』



プルルル プルルル



着信音が鳴った。俺の携帯でなく本間の携帯だ



『すいません。私のお父さんから電話が掛かってきてしまいました。』



『ああ、出て構わないよ』





『もしもし、何か用ですか?』



電話しているときの彼女は驚いた表情や深刻そうな表情にコロコロ変わっていた。きっと何かあったのだろう。すると、彼女は俺に電話を差し出してきた。



『お父さんがあなたと話がしたいって』



『え、お、おう』


え?これってまさか、「娘さんを僕に下さい」

的なやつですか?それにしては急すぎませんかねお父さん!



『も、もしもしお電話代わりました』




『もしもし』

低くて重みのある声だ‥‥


ん?何も言ってこないぞ?


『ど、どうしましたお父さん?』



『君にお父さんと呼ばれる筋合いはない!』

おおっ、一度は言ってみたい言葉ランキング(俺の中で)上位に来る言葉だ!



『す、すいませんお父さん』



『お父さんじゃないと言っただろう!』



なんとお厳しい。



『すいません‥』



『分かればいい』



『と、と、ところで俺にな、何かご用ですか?』


また噛みまくっちゃったっぴ。



『ああ、その事なんだが、色々手違いがあったようだ。』



『その事とは何ですか?』



『まだ娘から聞いていなかったか。では私から話そう。娘はな、イギリスから日本にホームステイをすることになったんだ。そこで泊まる場所なんだがな、私の弟が日本に住んでいるからそこに住ませた方が快適だと思って弟に娘を預かってくれるよう頼んだんだが‥‥しかしな、ここで問題があってな。手違いで君のところへ荷物が届くことになってしまったんだ』



『はぁ、そうですか。分かりました。』

なるほど‥‥手違いということか。てかやっぱり叔父さんって俺の父さんじゃないじゃん



『じゃあ弟さんに連絡をしてみてはどうですか?』



するとため息を好きながら彼は言う。



『それがなぁ‥‥何故か弟に電話が繋がらなくてな。それで困っているんだ。』




『はぁ、そうですか。それは困りましたね。』




『ああ。それに私は弟の住所を君の住所と間違ってしまってな。それで私は弟の住所がわからないもんだから、手も足もでないんだ。』



住所を知らないなんて‥‥んなことあるか!

でも、真剣っぽいからな。んー?どうすればいいんだ。とりあえず、近場のホテルでも泊まってもらえればいいが。


『んー、ホテル泊めるのはどうでしょうか』



『君と一緒にか?』



『ば、ち、違いますよ。お父さん何を言ってるんですか!一人ですよ一人!』



この人は一体なんてこと言い出すんだ!なんで俺まで泊まらなくちゃいけないんだ!



『ああ、それよりお父さんと呼ばないでくれ。』



またかよ‥‥



『すいません』




『分かれば言いんだ。それで、ホテルの提案なんだがな、生憎娘には帰ってくる時のお金ぐらいしか持たせていないんだ。』



なんて準備が悪いこと。もう少し準備しておけよ。



『はぁ、そうですか。それでは無理そうですね。』



『そこで提案なんだがな‥‥君のところに一晩泊めてやってくれないか?』



ん?何て言った?俺のところに一晩?



『お父さん?なんとおっしゃいました?』



『君と家に一晩だ。あとお父さんじゃない』



『い、いや。さすがにそれは。さすがにホテルに泊まっても帰れるくらいのお金はあるでしょう?‥‥もしあれだったら、弟さんに後で払ってもらうという手もありますし‥‥』



『今は夜か?』



『はい、そろそろ。今は夕暮れ時ですね』



『うーん。娘に夜の街は危ない。そこに娘を行かせるくらいだったら君のところにいた方がいい。もし、だめなら娘には帰ってきてもらう』



まぁ、確かにこのルックスならナンパされても全然おかしくない。それにしても帰っていいなら一度帰った方がいいのでは?




『何見てるんですか?』




明里が不審に思ったのか聞いてくる。



『い、いや見てない見てない。』



『なんだね』


やべっ、まだ電話してたわ

彼女の目線を気にしながら電話に応答する。



『何でもないです。あ、あと、帰ってもいいなら帰った方がいいんじゃないですか?』




『いいや、それは娘が認めないだろう‥‥』



やけに寂しい声。そこには彼女との関わりに何か問題があったことを含んでいるように見える。ここで家庭事情に介入するのも良くない。まあ、一晩だけならいいか‥‥



『おと、あなたは本当にそれでいいんですか?』



『ああ、君はどうやらヘタレな気がするからな』



ほぉ、言ってくれるじゃないかお父さん。



『はぁ、分かりました。今日は一晩泊めていきます』



『ありがとう。本当に助かる』



『では 』


ガチャ


『何かありましたか?』



『いや、今日、君を一晩俺の家に泊めていくことになった』



『え、い、嫌です!男の子の家に泊まるなんて!』



まぁ、普通は反対するよな。



『いや、でも君のお父さんがそうしろって言うからさ』



『そ、それでも!ホテルに泊まればいいじゃないですか!それにわざわざあなたの家なんて

お邪魔になりますし』



『いや、それも言っては見たんだけど、君のお父さんが君を夜に出掛けさせたくないんだとさ。それにもしだめならお父さんのところへ帰らせるってさ』




するとばつが悪くなったのか、少し不満げに言う



『あの人が?‥‥まあ、なら泊まることにします』



『そうか』




あの人か‥‥やはり何か事情があったのだろう



『こんなところで話すのもなんだから、とりあえず家に入って話そう』


====================================


『何が食べたい?』



彼女は立ちながら言う。



『家にお邪魔させてもらってる以上、私が作ります!』



『いや、いいよ。一応客だからさ。もてなしたいんだよ。』




『それでも少しは手伝います!』



『じゃあ、そこのソファのとこにあるリモコンでテレビをつけてくれないか?』



『分かりました!』

彼女は喜んでリモコンを探す。



『ところで、あなたの名前は何ですか?』



『俺は小泉(こいずみ)京太郎(きょうたろう)。好きなように呼んでくれ』



すると彼女は首をかしげながら言う。



『じゃあ、普通に京太郎でいいですか?』




『あ、ああ、それでいいよ』



かわいいな。首かしげた時の笑顔は反則だろ



『改めて言いますが、私は本間(ほんま)明里(あかり)です。明里と呼んでください。』




『分かった。んー、それで、何が食べたい?』



『んー?じゃあカレーが食べたいです!』



『カレーか。いいね。つくるよ。』



『ありがとうございます!』



『出来たら言うから、適当に休んでてくれ』



俺はカレーがつくり終わり、ご飯に盛り付ける。


『おーい、できたぞー』



『はい!』


彼女はソファから立ち上がりトコトコやってきた。


『わぁぁー美味しそうですね!』



目を輝かせている。



『ああ、食べよう。』



『いただきます!』


彼女はスプーンを手に取りカレーを口にいれる。


『美味しいです!』


笑顔いただきました!


『ありがとう。ところで、イギリスから来たらしいけど、「いただきます」ってイギリスにもあるの?』


『いや、私の家は基本日本語で会話してましたから、食べるときは「いただきます」って言って食べてたんですよ』



『ああ、そういうことか。だからやけに日本語が上手いのか 』



すると彼女は嬉しそうに言う。


『本当ですか!?嬉しいです!ずっと日本で通じるか気になってたんですよね。でも、まだ知らない言葉がたくさんあるので覚えなくちゃいけないんです。そのためにも日本に来たんですから。』


日本語を覚えるためか。今のままでも差し支えない気がするけどな。


『じゃあ、たくさん覚えないとな。』



『はい!たくさん教えてくださいね!日本の色々ことがたくさん知りたいです!』



====================================

『ごちそうさまでした』



俺と彼女は夜ご飯を食べ終えてソファで寛ぐ。



俺は気になっていたことを口にする。



『お風呂は入るよな?』



『入らせて頂けるならそうしますが』



『ああ、入ってきな。俺もう沸かしといたからさ』



『分かりました。一緒に入りますか?』



え?何を言ってるんだこの子は?一緒にってそーゆことですよね?



『な、なにいってるんだ。イギリスにしょーゆー文化でもあるのか?』



『冗談です。私が好意のある男性としか入りませんよ。』



遠回しに俺除外されちゃったよ。



『からかうのはよしてくれ。早く入ってこい』



『つれないですねぇ。ではお言葉に甘えてお先に失礼します。』


そう言えばこの子洋服はどうするんだ?



『パジャマとか持ってきてるのか?』



『いいえ、日本に来てから叔父さんに買って貰おうと思っていたので持ってません。でも大丈夫です。今日の洋服を着ます。』


『いやいや、今日の服は洗濯するよ。今日はたくさん歩いたんだろ。洗わなきゃダメだよ。』


となると、誰の服を貸せばいいんだ?

俺は一人暮らしだから女性用の服持ってないし



『では、あなたの服を借りますよ。でも、下着は流石にダメですよね?』


『し、下着?いやダメだろ!本当に何も持ってきてないのか?』


『はい‥‥』

彼女は申し訳なさそうに言う。

んー困ったな。一人で買いに行かせるとお父さんに怒られそうだし‥‥



『じゃあ、今から一緒にコンビニに買いに行くか?』



『コンビニですか!?いいんですか!?』



おおっ。テンション高いな。



『うん。たぶん下着も売ってると思うからさ』



『日本のコンビニは本当にコンビニエンスなんですね!私凄く行ってみたかったんですよ。

いやー楽しみだなー』


すごい嬉しそうでよかったわ。



『おう、じゃあ行くか。』



二人で玄関に行き靴を履く

俺は彼女に見守られながら玄関の鍵を閉めた









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る