第72話

 翌日、俺はショッピングモールにやってきていた。

 そこは、地元でもかなり大きなショッピングモールで、今は冬休みということも当て結構人がいた。

 お店の中は、クリスマスシーズンということもあって赤と緑が目立っていた。

 これならすぐにプレゼントも見つかりそうだな。

 とりあえず、俺はお店の中を歩いて回ることにした。陽彩にあげるのは赤色の物にしようと決めている。自分でも公言してるように陽彩は赤色が大好きなのだ。

 さて、何にしたものか。

 手袋。マフラー。ニット帽。どれもいいけど、いまいちピンと来なかった。それに、陽彩は持ってるしな。

 

「プレゼント選びって頭使うんだな。それが大事な人ならなおさらだな」


 じっくりと一時間くらいお店の中を見て回って、俺はあるものを買った。

 陽彩が喜んでくれるかどうか、正直自信はあんまりないけど、それが一番いいと思った。

 プレゼントを買い終えて、俺は家に戻った。


「翼、おかえり」

「え、なんで陽彩がいるんだ。今日は休みだろ」

「勉強しようと思って」


 家に帰ると陽彩はお客として『蓮』にやってきていた。

 テーブルの上には勉強道具とクリームたっぷりのシフォンケーキとココアが置いてあった。


「で、どこに行ってたの?」


 俺はリュックを背負って行ってよかったと思った。

 クリスマスプレゼントを買いに行ったということはバレなくてすみそうだ。


「ちょっと、ショッピングモールにな」

「ふ~ん。買えたの?」

「え……」

「ほら、何か買いに行ったんでしょ?」


 びっくりした。バレたのかと思った。


「ああ、買えた」

「そ。よかったね」


 陽彩は疑う様子もなく勉強に戻っていった。

 バレて、ないよな。

 俺は買ったものを置くために自分の部屋に向かった。

 部屋についてリュックを下すと中からラッピングされた箱を取り出した。

 

「喜んでくれるといいんだけどな」

 

 そう呟いた息は白かった。

 俺はそのプレゼントを机の引き出しにしまうと、お店の手伝いをするために一階に下りて行った。



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