第62話

 とうとうこの日がやってきてしまった。

 三年生たちは優勝を目指し活気づいていた。あと、一時間もすれば、文化祭がスタートして、来場者がアリのようにやってくる。ここ、春桜高校は一般人の来場も許可している。だから、別の高校からやってくる生徒もいた。

 三年生が屋台を出すのは中庭だった。そこは入り口から一直線に歩いてくると到着する。

 

「みんな、いよいよこの日がやってきたわね!」


 陽彩がそう言うと、準備をしていたクラスメイトが声を上げた。

 みんなやる気満々といった感じだった。

 俺はというともちろんいつも通り空気を演じる。というわけにはいかなかった。


「獅戸君。これでいい?」

「こっちもみてくれ~」

「こっちもおねがい~」


 という風にいろんなところから声をかけられる。

 なんなんだこの状況は!?

 俺がテンパってると陽彩や有川が助けてくれる。


「それはこっち」

「それ頂戴!」


 二人とも的確に指示を出す。

 俺いらなくね?

 だけど、そんな二人も最終確認を俺に求めてくる。


「翼。これでいい?」

「獅戸君、こんな感じ?」

「いいと思うぞ」

 

 こんなことが一日も続くのか!?


「そろそろ、お客さん来るよ~」

「愛理、ありがと」


 入り口に様子を見に行ってた雛形が戻ってきた。

 雛形の話によれば、すでに校門の前にたくさんのお客さんがいるらしい。

 少し早くからクレープの生地を焼いといて正解だったな。


「じゃあ、午前組の生徒は準備して~」


 午前は俺と陽彩がクレープを焼く係になっている。

 そして 、午前組のリーダーは陽彩だった。そんな陽彩が午前組を仕切っていろいろと指示を出していく。 


「じゃあ、陽彩のことをよろしくね。私たちも少しだけ回ったら戻ってくるから」

「了解、楽しんできて」

「つー君。ひーちゃん。またあとでね~」


 有川と雛形は午後組なので、午前中は自由行動だった。


「またあとでね。二人とも楽しんできてね!」


 陽彩は二人を見送ると、俺の方を見て言った。


「私たちも楽しもうね!」

「そうだな。最後の文化祭だしな」

「まずは、午前を乗り切るよー」


 陽彩がクラスメイトを鼓舞してモチベーション上げた。

 こういうのをやらせると、このクラスで右に出るものはいないな。

 さすがは、陽彩だと感心しながら、俺はクレープを黙々と焼いていった。


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