第14話
放課後になって私は愛理と七海と一緒にファーストフード店にいた。
「教室に戻ってきたときの幸せそうなひーちゃんの顔見た?」
「もちろん見たわよ。もう、全身から幸せオーラが溢れてたわ」
私の前座っている二人はそんな会話をしていた。そんなに、私は浮かれていたのだろうか。たしかに、翼のスイーツを食べれて幸せではあったけれど。
「私、そんなに顔に出てた?」
「出てたよ〜。こんな顔してた」
愛理は私がしていた顔を再現するかのように口角を大袈裟にあげて目を細めた。
「そんな顔してないから!」
「してたよ〜。ね〜。なーちゃん」
「そうね。そこまで変な顔じゃなかったけど、ずっとニコニコしてたわね」
「うそっ」
「本当〜」
やばい。どうしよう。翼にも見られたってことだよね。恥ずかしい〜。もしかして、私の気持ちバレちゃった!? そう思ったら一気に体が熱くなってきた。
「まあ、私たちしか気づいてないと思うけどね。獅戸君も気づいてないようだったし」
「そっか・・・・・・気づいてなかったか」
それはそれで寂しいような気がする。気づいてほしいと思う気持ちと気づいてほしくないという気持ちが私の中で葛藤していた。
私の心はマドレーヌを食べたあの時に奪われた。今はすっかりと翼の虜だ。スイーツもそうだけど、翼本人にも。
「さっきからニヤニヤしてるけど、もしかして、つーくんのことを考えてる?」
「か、考えてないから!」
「正直になれば楽だよ〜。ほれほれ」
ポテトをこっちに向けて、煽ってくる愛理。
「こら、だからそうやって人を煽らないの」
そんな愛理の頭を軽く叩いてストッパーになる七海。
「ごめんなさい」
「素直でよろしい」
私はそんな二人の楽しそうなやりとりを微笑ましく見ていた。私は二人が大好きだ。こんな二人だからいろんなことを相談できる。
「私、翼のこと好きみたい」
「うん。知ってる」
「知ってるよー」
「どうすればいいかな?」
「うーん。いつものひーちゃんでいいと思うけど」
「そうね。ありのままの陽彩でいたらいいと思うわ」
なぜか、二人は顔を合わせて楽しそうに笑っていた。
「そうかな?」
「大丈夫だよー。ひーちゃんは可愛いから!」
「ありがと」
そんなに直球に言われたら、いくら相手が愛理でも照れる。
「また、何か困ったことあったら言ってね? ひーちゃんのためならなんでもするよー」
「うん。ありがとね。愛理」
「私もあなたの恋の協力するわ」
「ありがと。七海」
「よーし! ひーちゃんの恋を叶えようの会をここに結成します!」
「何それー! 恥ずかしいからやめて!」
「いいわね。それ」
いつもはストッパーの七海までも、その変な会を作ることに賛成らしい。
「せめて、名前は変えない?」
「ダメだよ。これは、ひーちゃんの恋を叶えるための会なんだ」
「うぅ・・・・・・」
二人があまりにも乗り気なので、私は受け入れるしかなかった。まあ、楽しそうだからいいかな。恥ずかしいけど。
「とりあえず、今日はポテトを食べて解散ー!」
愛理は高らかにそう言ってお店のお客の注目を集めたのであった。
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