第13話
「このガトーショコラめっちゃ美味しい〜」
「ありがと」
「翼のお父さんのシフォンケーキも美味しかったけど、私はこれの方が好きだな〜」
「・・・・・・そっか」
幸せそうな顔で俺の作ったガトーショコラを食べる陽彩。あまりに夢中に食べすぎてほっぺたにガトーショコラが付いているのに気が付いてないみたいだった。
「ほら、ついてるぞ」
「えっ・・・・・・」
俺はそのガトーショコラを指でとってあげた。
陽彩が固まったような表情で俺のことを見ていた。
「あ、ごめん。つい・・・・・・」
「ううん、とってくれてありがと」
また、二人の間に気恥ずかしい空気が流れてしまった。
その空気を変えたのは今度は昼休憩の終わりを知らせるチャイムの音だった。
「そろそろ、戻るか・・・・・・」
「そ、そうだね。残りは帰ってから食べるね」
「ああ」
俺たちは一緒にいたことがバレないように別々に教室に戻った。
「どうやら仲直りできたみたいね」
教室に戻って自分の席に着くと有川が近づいてきて言った。
「おかげさまで」
「私は何もしてないけどね」
「雛形さんにもお礼言っといてよ」
「それは自分の口で言いなさい」
学級委員らしくそんなことを言った有川は綺麗な黒髪を
「つーくん。ちゃんと仲直りできたみたいだね」
有川と入れ替わりで今度は雛形がやってきた。
「雛形さんはどこまでご存知で?」
「それは言えないかな〜。ただ、ひーちゃんを悲しませることは許さないってだけ言っとく」
「善処します」
「よろしい。またね〜」
パタパタと足音をさせながら雛形も自分の席に戻っていった。
そこで、次の授業の担任の先生が入ってきて授業が始まった。
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