好きなんです!

綿麻きぬ

卒塾パーティー

 今日は卒塾パーティーの日。今日で大好きな先生と会うのは最後。


 その先生は授業を持ってくれていて、私の質問にもよく答えてくれて、そんな先生のことが徐々に気になっていってしまった。


 最初、先生を見ていると胸のドキドキが止まらない。次に会いたいと思い始め、その違和感が恋だと気づくには時間がかかった。


 恋だと気づいてからはどう接したらよいか分からなくなって、先生を戸惑わせた、と思ってる。


 パーティーの時間、先生は他の生徒と話している。今日、自分の気持ちを伝えなければ絶対後悔する。それは分かっている。


 やらないで後悔するよりも、やって後悔しよう。そう思ってはいるが声をかけれない。


 そんなこんなで終わりの時間が来た。


 帰り道、運よく先生に話しかけることが出来た。というより話かけられるように画策してた。



 先生!!ちょっと待ってください。少し言いたいことが。


 好きなんです、先生が!!


 えぇ知ってますとも、これはしちゃいけない恋だって。先生と生徒の恋は。


 先生の授業が好きです。

 先生の声が好きです。

 先生の教え方が好きです。

 先生の笑顔が好きです。

 先生の窘めるときが好きです。

 先生の応援している姿が好きです。


 まだまだ好きなところはあります。言い足りません。


 だんだんと私の脳内では先生で占められていきました。受験勉強をすっぽかして、先生のことを考えてました。


 これじゃ、受験生失格でしたね。でもいいじゃないですか!!


 ギリギリ無事に滑り込みで第一志望合格したんですから!!


 だから!!私と付き合ってください!!



 言った、言ってしまった。静寂が訪れる。この時間が体にズキズキと刺さる。


「いいよ、こちらこそよろしくね」


 聞き間違いだろうか、いや、聞き間違いじゃない。確実に先生は了承してくれた。緊張が解けて、ホッとした。


「俺もいつ話しかけようかと思ってて、よかったよ。君と同じ思いで。じゃぁ、一緒にでも帰ろっか」


「はい」


 これで私の受験戦争は一区切りついた。

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好きなんです! 綿麻きぬ @wataasa_kinu

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