お前が氷の魔王になった日、オレは魔王でなくなった
花月夜れん
魔王が勇者と一緒に転生したら
「くくく、お前が勇者でなければ――。愛していた」
「あぁ、そうだな」
黒い髪、赤い瞳の見目麗しい魔王と銀髪、青い瞳の美しい女勇者が今まさに決着をつけようとしているところだ。
二人は、何も知らず出会い、愛し合っていた。
あの日、世界が二つにわかれるまで。
「だが、オレはただでは死なないよ」
「――?」
勇者が戸惑う。魔王は大きく笑い宣言した。
「お前に愛という呪いをかける。未来永劫、ついて回ってやる」
「…………あはははは、いいな。それは――」
二人は魔法で巻き起こった灼熱の炎の中に手を繋ぎ飛び込んだ。
◇ ◆ ◇
「ていうドラマチックなことが前世であったんだぜ?」
「知らん」
オレは魔王を
彼女は勇者を止めて、ツンツンツンドラな氷の魔王になってしまった。訂正しよう、デレのないツンデレ女子高校生だ。言ってておかしいのは重々承知だが。
前世では、炎のように熱く、炎熱の勇者と呼ばれた女だったのに、何でだ?
「なぁ、思い出してくれよ、マユ」
「中二病も大概にしてくれ、タクヤ」
今日もオレは彼女について回る。
いつか、思い出してくれるその日まで!!
ーーー
愛していた。
貴方を愛していた。けれど、民衆はそれを許さない。
私が勇者で、彼が魔王である限り。
「お前に愛という呪いをかける。未来永劫、ついて回ってやる」
◇ ◆ ◇
貴方が私にかけた呪いは、成功した。
まさか、隣に住む同い年の幼馴染に生まれ変わるなんて。
「マユ、前世からお前を愛しているーーーー」
お互いを認識してからというもの、毎日これだ。
「知らん」
私は彼にそう返す。確かに貴方はあの人かもしれない。けれど――。
私は、マユだ。女勇者じゃない。
私を愛してほしいんだ。だから――。
貴方が私を見るまでは、絶対に口にしてやるつもりはない。
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