第45話:家族愛・ロイドことローレンス視点
「これはこれは皇太子殿下、この度はお手数とご足労をお掛け致しております」
俺が転移すると、サイモン国王とキャサリン王妃がわざわざ椅子から立って礼を取ってくれる。
一国の王と王妃に立って礼を取ってもらうのは少々面映ゆい。
「おやめくださいサイモン国王陛下、キャサリン王妃殿下」
「いえ、成り上がりの私や妻がボースウィック皇国の皇太子に礼を取るのは当然ですし、そもそも皇太子殿下のご支援がなければ分離独立も難しかったのです。
本来なら属国としてお仕えすべきところを、完全に独立させていただいているのですから、人目のないところでくらいは礼をとらせてください」
サイモン国王は本当に律儀な方だな。
この性格だからキャンベル王国でも貧乏くじを引かされ続けたのだろう。
「そんな事は気にされないでください、従叔父殿。
今回の件は皇国とは関係なく家族として手助けさせてもらった事です。
フローラ嬢とエレノア嬢は僕にとっても可愛い又従妹です。
不当に害されるのも誤解から仲違いするのも胸が痛みますから」
フローラ嬢とエレノア嬢は知らないだろうが、彼女達は俺の又従妹になる。
キャサリン王妃は俺の祖父の姉の娘になるのだ。
血統的に血が繋がっているキャサリン王妃が従叔母で、サイモン国王がその配偶者という関係になる。
「そう言っていただけると助かります。
この度の件では本当によくしていただきました。
私が娘の事よりも王家の事を優先した所為で、娘二人は本当に辛い思いをさせてしまいました、心から反省しています」
「まあ、それも忠義の道といえば仕方のない事です。
人それぞれ大切に想う事は違いますから」
「そう言っていただけるのはうれしいが、父親としては失格だ」
もうこの話題は分けた方がいいな。
過去の事よりもこれからの事だ。
「サイモン従叔父殿、過去の事よりもこれからの事を話したいのだが、いいですか」
国と国の関係ではなく、利害を抜きにした話だと分かってっもらうためには、従叔父殿といった方がいいいだろう。
「よろこんで話させていただく、なあ、キャサリン」
「はい貴男、どうか何でも言ってください、ローレンス殿」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます