素晴らしい日 / みょうせい

追手門学院大学文芸同好会

第1話

 ガタンゴトント動いていた蒸気機関車が止まった。

 素晴らしい、こんな素晴らしい日は今まであっただろうか。蒸気機関車から降りながら私は何度目かの感慨に浸る。これから私は最近我が国に併合された地域で行われる軍事演習を視察する。ただの視察ではない、道中にて私の妻であるソフィアと共にパレードを行うのだ。

なぜそれが素晴らしいことなのか、それは私と彼女の身分が関係している。

 私は次期皇帝、つまり皇太子である。それに対して彼女はただの女官であり、皇室から見れば到底釣り合う身分ではなかった。その彼女との結婚は反対が多く出た、それでも私は諦めなかったため結婚は認められた、彼女と共にいること制限されて。私生活はもちろん一緒に暮らしているが、公の場で私と同席しないという条件で結婚を許されたのである。

 だが今回だけは許されたのである。それは今日が私たちの結婚記念日であり、叔父の皇帝もパレードを許してくれた。初めて叔父に感謝しているかもしれない。

「皇太子殿下、遠路はるばるよくお越しくださいました。こちらが殿下と夫人が乗車なされる車であります。」


「ごくろう。」

 この地域の市長や警備隊からの歓迎を受け、返事を返し何両も並んでいる車の三両目の屋根の折りたたまれたオープンカーに乗る。

「少々返事がそっけなかったのではありませんか。」


「確かにそうだったかもしれない、だがそれほど君とのパレードに早く行きたかったんだ。」

 彼女に苦言を呈された私がそう返すと、彼女はため息を漏らすが満更ではなさそうだった。市長の方も少し見てみるとこちらの事情を知っているのか、ことらを見て微笑んでくれているのでたぶん大丈夫だろう。

 そうこうしていると車は発車し、パレードを見に来た国民で埋まる市街地に向かっていく。

 市街地に入ると多くの人が私たちを歓迎するために来てくれていた。妻と共に歓迎されていることが今までなかったため、いつもよりうれしさが増してくる。本当に今日は素晴らしい日だ。

「ボスッ」

 何かが折りたたまれた屋根に当たったようだ、花でも投げたのだろうか。

 そう考え後ろを振り向いた瞬間、後続の車両が爆発した。

 一瞬何が起こったのか理解できなかった。だがすぐに私たちが殺されかけた事を理解した。それに運転手も理解して爆発した車両を見捨て、その場から離れていく。

 素晴らしい日は最悪の日に変わっていった。


「市長、これはどういうことなんだ。ふざけるなよ」

 市庁舎に着いた私はすぐに前の車両にいた市長の元へ行き、そう怒鳴りつけた。もう気分は最悪だ、天国から地獄へと叩き落された感覚だ。


「市長がわざと起こしたわけではないのでしょうから、そのようなことを言うのは。」

 市長が返答に困っていると彼女がそう耳打ちしてきた。確かに彼女の言うように感情的になりすぎたかもしれない。


「もういい、負傷者やテロリストはどうなったんだ。」


「テロリストはその場で確保しました、そして負傷者はいま病院へ搬送されています。」


「なら今日の予定は中止する。そして負傷者を見舞いに病院に行く。」


 そう私が答えると市長は、わかりました、と言い車の手配を始めた。

「大丈夫だったか。」


「そんなに気にしなくて大丈夫ですよ。」

 私が心配になってそう聞くと、彼女は笑顔でそう答えてくれた。私に心配をかけないために笑顔で答えたんだろうか、そう考えると申し訳なく感じる。

 しばらくすると市長が戻ってきて、「準備が整いました」と言いに来た。その言葉を聞き、また私たちは先ほど乗っていた車に乗って病院に向かっていった。

 今度は市街地を避けて病院に向かっていく。パレードの時とは違い速度を出して。そんな時、前を走っている市長が大声で「道が違う、止まれ。」そう言った。

 運転手が道を間違ったようだ。前の車が止まったため私たちの車も止まる。

 市長が言うまで気づかないのは運転手としてどうなんだ。そう感じずにはいられなかった。

 その時、横にあったカフェから十代半ばの青年がこちらに向けて走ってきた。そして車の踏み板にまで乗ってきた。突然のことで誰も反応できていなかった。ただ青年の手にはピストルが握られている事だけが分かった。

 そして二発の弾丸が放たれた。

 一つ目の弾丸は私の胸の方を貫き、二発目は彼女のソフィアの腹部を貫いた。


「大丈夫ですか。」

 青年は捉えられたのであろう。私たちのところに市長たちが集まってきた。

 大丈夫なわけないだろう、痛みがまるで電光石火のように伝わり、意識を失いそうになる。だがソフィアの方が重傷のように見える。私の方に倒れてきて一向に動かないのだ。


「大したことはない。」

 声を振り絞りそう答えた。正直もう限界だ、目も霞んできた。だがここで死ぬわけにはいかないのだ。まだ彼女と一緒にいたいのだ。

「お願いだソフィア、死んではだめだ生きてくれ。私と共に生きてくれ。」

 意識のないであろう彼女の手に私の手を合わせながらそう投げかけた。




あとがき


 初めまして、みょうせいです。小説書くのは初めてではないのですが、これまで書き方などを調べてないので文がひどいと思います。ご了承ください。あとタイトルもつけ方がわからなかったためこんな感じになりました。次はマシな物を書けるように頑張ります。

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