『土竜転生』最強ドラゴンに転生して異世界無双!!そう思っていた時期もありました。ーーもぐらって読むそうです……

アレン

第一章【転生したら土竜でした】

プロローグ ※

 プロローグ ※

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 長年夢に見続けたそれの順番がついに回ってきた。


「では、儀式を始める。『みこ』よ、旅立つ前に言い残す言葉はあるか?」


「教えとの出会いに、神との出会いに感謝を」


 何もなく、堕落した俺を拾い上げ、こんな機会をくれて、本当に感謝しかない。

『みこ』を新参者の俺に譲ってくれた、仲間たちにも本当に感謝している。

 俺はこれで、神のもとに行ける。


『我らに栄光を』


「「「我らに栄光を」」」


 痛!!


 ……いや痛くないかもしれない。


 生暖かい液体が、ねっとりとしたそれが、体表に広がっていく……


 気持ち悪い。


 力が抜ける、立っていられない。


 視界がぼやけ、意識が……


 ああ、これが神に迎えられる感覚。


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「あの……神様?」


「あのーー、神様~!!」


 見渡す限り真っ白、神聖な雰囲気漂ういかにもって場所だが……神様が見当たらない。

 おかしい、教祖様の説明では……


「おぬし、そんなとこで何しておるのだ?」


「か、神様。お初にお目にかかります。『みこ』を仰せつかりました、佐藤ひかるです」


 さすが神様、さっきまで気配もなかったのにいつの間にか背後に。

 それにしても、随分と幼い姿……

 教祖様のお話では、信仰の離れにより年老いた老人の姿になっていると聞いていたが。

 我々の活動が実り、お若い姿を取り戻したのだろうか?


「はて、巫女とな? そちは男であろう?」


「え!? 『みこ』とは本来男であり、巫女とは表での……」


「そもそも我は巫女など求めておらぬし……ちょいと失礼するぞ」


 姿といい、言動といい、教祖様から聞いていた神と違う……

 もしかして、邪教の神?

 この世に神は一柱のみ、神を騙った悪魔?


「お前は、いったい何者だ」


「あぁ~これは深刻じゃ。めんどくさい。が、偶然にせよ対価を払い、正規手順で来た人間じゃしな」


「神を騙り俺をだまして、いったい何を……」


 教主様は、儀式で確かに俺を神のもとに送ったはず。

 神は衰えていたと聞くし、まさか。

 いや、考えたくもない。

 それに本物の神が、邪神に負けるなんてそんなことあるわけ……


「我は八百万の神が一柱、とはいっても名無しじゃが。そなたの願いを一つだけ叶えてやろう」


「偽物……え!? マジで?? さすが女神様」


 どうやら、この女神は本物だったらしい。

 そもそもおかしいと思ってたんだ。

 教主は神は一柱しかおらず、ほかは邪教だというが。

 さすがにそれは……

 本物信じてる人少なすぎるだろっていう話だし。


「……おぬし、教主様とやらはどうした?」


「いや~、その神々しいお姿。神様に違いないと確信しておりました」


 そう、神聖な雰囲気。

 穢れを知らない、幼い少女の姿。

 透き通るような、白い髪。

 女神そのものに他ならない。


「……まぁ良い。願いはなんじゃ? もちろんそれ相応の対価はもらうが」


「……悪魔?」


 やっぱり、悪魔かもしれない。

 教主様も邪神は人を巧みにだまし、小さな願いの対価に莫大なものを要求するといっていた。

 く、これが邪神の力。

 危うく俺も騙されるところだった。


「世の中そんなに甘くない。で、はよ願いを言わんかい」


「異世界転生したいなぁ~なんて」


 まぁ、確かに。

 教主様にも、お布施はしていたし、毎日五回のお祈りは欠かさなかった。

 そういう意味でいえば、多少の代償は当然ともいえる。


「ま、わかっておったがな。最近、その願いの多いこと多いこと。完全にマニュアル化されておるから、勝手に選べ。終わったら呼んでくれ」


「やっぱり、女神さまはさすがっすね」


 本物だ!!

 女神様、感謝いたします。

 生涯、祈りつ続ける所存です。


「……調子のいい奴じゃ」


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 ーー次話予告ーー


『第1話 種族を土竜に決定しますか?』

 明日更新


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