僕の親友は作家さん〜旅の経過報告したらネタにされた件〜
八浪 凛
第1話 終わりと始まり
春の暖かな日差し。咲き誇る花たちがざわめき。胸いっぱいの絶望感と共に僕、リト・スカーレットはこの勇者学園を卒業した。
「これで俺たちもこの学園からおさらばだな」
そう呟くのは魔王の息子ゴウケツ・オウマ。
「あぁ、そうだな。お前らは輝かしい旅立ちだろうがな」
「おでは、リトぐんのこと忘れねぇ〜。帰ってぎたときにたぁ〜んとウメェ飯食わせるべ」
「ブッチャ・・・」
僕の為にって言ってくれたオーク族で料理屋を開く予定のブッチャ・タイソン。
ブッチャお前はいいヤツだなぁ〜。
さすが4年間旦那様にしたいランキングNo.1を守り続けた漢だ。この気遣いに何度救われたことやら。
「それはそうとリト。そろそろメインイベントといこうじゃないか!どちらが学園最強かをな!」
「ちっ、いい雰囲気でこのまま帰れると思ったのに。まぁ〜いいや、少しでも鬱憤晴らしとかんとあっちに行っていきなり絡まれたらブチ殺すかもだしな」
「リトぐん物騒だべ。それにユキヒコぐん来るの待たなくていいんだべ?」
おっとユキヒコくんが来てから始めないと絶対怒るし、第二ラウンドファイツ!!とか言ってくるだろうなぁ〜。なんて考えてると、
「遅くなってすまない、久々に会った亜王と話し込んでた」
爽やかに声をかけながら集団を引き連れ、颯爽と現れた金髪にエメラルドグリーンの瞳、頭が良さそうに見える眼鏡。いつ見ても王子様だなぁ〜と思わせるエルフことユキヒコ・タナカ。
彼は、転生者で肉体は、僕の生みの親が、エルフベースで作った。
ある意味では、僕らは兄弟だ。
「ユキヒコおせえよ。もう少しで始まるところだったぞ」
「ははは、そうは言っても結局のところ、待ってくれてたでしょ?」
「まぁ〜な。にしてもまたぞろぞろと引き連れて来たな。親父たちまでいるし」
ゴウケツがボソッと呟いた一言が聞こえて俺はバッと後ろ振り向く。
嘘ぉ〜ん、たかが卒業生が全力で喧嘩するだけなのに何でこんなに人が集まるわけ?
本当ならブッチャとユキヒコくんとじゃじゃ馬姫だけが立ち会う予定だったのに。。。
みんな暇なの?暇なんだろうなぁ〜。特に四王。あっちこっちで賭けまでしてるし。
てか父さんと母さんまでいるし。。。
「リ、リト!負けちゃダメだからねッ。頑張りなさいよね」
不意に黄色い声援が飛んで来た。
燃えるような真紅の髪、琥珀のような瞳。
じゃじゃ馬姫ことアリス・フォン・バーナビー。
ユキヒコくん曰く、ツンデレじゃじゃ馬姫君だってさー。
てか今日に限ってなんで声援なんだ?
いつもは負けてしまえとか罵倒してくるのに。
「リトちゃ〜ん、アリス様の期待に応えなさ〜い!あとマーリン様からの伝言よ〜!『最強になって旅立て』ですって!」
「リト!漢は気合いだ!姫様にかっこ悪いところ見せるなよ!意地を見せろっ!」
母さん、父さん、ここでそれ言ったらダメだって。
そう思いながら、ひしひしと感じる殺気の方を向く。
「ハッ、残念だけどリトには序列でも学園でもNo.2で終わってもらうぞ」
ニヤッと不敵に笑うゴウケツ。
完全に怒ってらっしゃる。ゴウケツも僕と同じで姫様のこと好きだしなぁ〜。
「ん〜でも僕も好きな子の前で負けるのは嫌だし、流石にゴウケツとの喧嘩で負け越したくないかなぁ〜。」
「んじゃ〜賭けでもするか、リト?この一戦で最強を手にしたヤツが「あっ!!姫様、そのサンドイッチ始まるまで食べたらダメだべ」「食べたっていいじゃない、どうせまだ、タラタラ話し込んで始まらないんだもん」・・・・・・・・・始めるか」
「そうだね」
ブッチャ、お前はいいヤツだ、本当に空気読めるヤツだ!そして、姫、いつも空気読めないくせにたまにはいいことをする!!
負ける気は無いけどゴウケツの賭けに乗るわけにはいかなかった。
内心突っ込むが、美味そうにサンドイッチを食べる姫。。。
僕らの分、残ってないだろうなぁ〜。
はぁ〜と内心ため息を吐く。
「それじゃ〜このコインが地面に着いたら始めな?」
「OK、俺は、始めから全力でいかせてもらうよ」
「ははっ、上等ッ!!」
ピンッ、と音が鳴りコインが宙を回転する。
コインが頂点に達してゆっくり降下してくる。
両者共に最高の一撃を放てるように溜める。
コインがキンッと心地いい音を立てた瞬間、
ドコーンッ
爆発的な音が鳴り、卒業生による学園最強決定戦が今、始まった。
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