音楽と私

深山涼水

第1話初めて音楽を意識したのは。

 小学生簿頃から歌が上手かったわけでもなく、声も普通の人より低めで歌うことは好きでは無かった。

 歌うことに興味を持ったのは中学校に新任の担任である。

 彼は大学を卒業したばかりで、ある意味で熱血先生だった。

 学年一クラス20人程度の山間の学校で、冬になると積雪3メートルで所謂僻地で豪雪地帯地帯でもある。


 そんな事で先生は小中学校共職員宿舎に住むのだが、食事は学校の用務員が作って学校内で食べていたものだ。

 三月末に子供たちが4キロも下った場所まで橇を引いて迎えに行くが、若い女性の先生は、雪の多さにびっくりして、涙ぐんで居たものだが、1年も経つと自然の素晴らしさと村人のやさしさで居心地が良くなって、自ら転任希望を出す事も無く長い赴任になる先生が多かった。


 熱血先生がまず私たちに教えたと言うより指示したのは『歌声運動』であった。

 主にロシア民謡や日本の歌でも余り聞いた事も無い歌が多く,歌詞をガリ版印刷して、グランドの傍にある大きな記念碑の周りに全員集まって歌ったものである。

 今なら思想教育とも言われかねないが、当時は他の先生も参加して大いに盛り上がったし、私自身もこんな歌が有ったのかと思ったものだ。

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