幼馴染と付き合ってイチャつくだけのラブコメ

さーど

プロローグ

【安堵と決心】

「好きです!付き合ってください!」


 学校の校舎裏で、大好きな幼馴染が告白されている現場を目撃してしまった。


 目の前が真っ暗になる。心の中から、''焦り''という感情が溢れてくるのを自覚する。


 自分の根性が無いせいで、大好きな幼馴染が奪われてしまうかもしれない。


 彼女の良さは自分だけが知っていると、思っていたのに。


 だけど、現状はどうなっている?今更後悔しても、遅すぎることを心が理解する。


「……ごめんなさい」


 しかし次の瞬間、僕の耳は申し訳なさそうな幼馴染の声をとらえていた。

 その言葉で視界が明けてくると、彼女が頭を下げていることを視認する。


「……はあ」


 今度は、''安堵''という言葉が心の中から溢れてくるのを自覚し、ため息を吐く。


 今回は……まだ良かった。あくまで、今回は……だけど。

 迫っている危機に僕は表情を引き締め、一つの決心を心の中で燃やし始める。


''告白しよう''


 他の男に奪われてしまう可能性がある以上、根性がないで誤魔化せないだろう。


 告白を断られてしまうという怖い気持ちは、今もまだまだあるけれど。

 それでも奪われた後に後悔するよりかは、断然良いと思える。


 胸の中で拳を握って決心をより強く固め、僕はその場を去っていった。

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