1章-幕間1
side. シルフィーユ
あたしは生まれたときから保有マナが多くて、力が暴走しやすかった。
お師匠様はそんなあたしを救ってくれた恩人だ。
押しかけ弟子として側にいて、お師匠様の役に立つのが嬉しかった。
お師匠様は天才だ。
全ての魔法を習得してついに転魂薬をも完成させた。
若い頃は魔族の王、魔王をも簡単に倒したらしい。
どこかの国では古の魔術師として伝説となり、またある国では、その強大な魔法のせいでマナが枯渇したのだと危険視される。
そんな両極端な評価も、お師匠様にとってはなんの意味もない。
ただ枯れゆく世界樹を憐れみ、救おうとされている。
転魂薬を作ったのもそのためだ。
マナを確保するために若返りの魔法も、生活魔法すら封印して、ひたすらにマナを貯め続けた。
あたしも身の回りのお世話をする事で出来る限りのサポートをした。
でも実際に転魂が成功したら、お師匠様はいなくなった。
こっちに来た魂の持ち主は「ヨウ」といった。
なによ、名前がちょっと似てるだけじゃない。
体はもちろんお師匠様だ。
でも中身は違う、てんで子供。
なんにも知らないお子ちゃま。
一から十まで教えてあげなきゃ何もできないの?
お師匠様からの命令がなきゃ完全に見捨てていたわね。
お師匠様を返してって感じ。
ヨウは変態だったわ。
植物に関して、だけど。
街のポーション屋の薬草畑に一目惚れして通うことになったときのあのキラキラした目といったら、お師匠様に出会ったときのあたしみたいだった。
純粋なところは認めるわ。
あたしも純粋だから。
でもやっぱりちょっといやらしい所があると思うの。
男の子だったら仕方ないのかしら。
でもそれからヨウはすごく努力した。
勉強もしたしマナ制御の特訓も頑張ってる。
正直、ここまでちゃんとやるとは思ってなかった。
少しだけ見直した。
ある日綺麗な女の子を連れて帰ってきた。
騒がしい子ね、うるさいわ。
ってあれだけ注意したのに魔法のことがバレるとか、どんだけ頭お花畑なのよヨウのやつ!
何よ、ちょっと胸があるだけじゃない!
あたしだって精霊の中じゃナイスバディで通ってるのに!
でもその子、妹にしたの。
正確には妹分ってことだけど。
だってお師匠様の事、素晴らしいって言ったのよ?
それにあたしのことをお姉様って…
こんなかわいい子、他にいないわ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます