この長さでまとめられたミステリーは初めて読んだかもしれません。
ミステリーって、長く書かなければまとめきれないもの、と勝手に思い込んでいたんだなあと思い知らされた気分です。
サクサク読めるミステリー、いいですね。個人的には、普段情を表に出さない冴木さんの心中の声が、ちょくちょく読めたのがなんだか嬉しかったです。

あーるさんの作品は、やはりクールな女性が魅力的ですね。
情に絆されないタイプというか、表に出てくるのは抜身のナイフのような鋭さが印象的なタイプというか……
御霊さんの鋭さは、どこか清々するようなすがすがしさがありました。

一連のトリックで一番「おお」となったのは、赤いインクのくだりでした。
人の目をそちらに集中させて、他の知られたくない事実を隠す……これって、色んなことに応用の利く小技じゃないかな、なんて、ちょっとずる賢くなってしまった気分です。笑

動機については、分からなくはないですけど、やっぱり彼女のためには、危ない橋を渡らずに傍にいて支えてあげて欲しかったなと思います……でも何かしていたい気持ちが、きっとこうさせてしまったのでしょうね。「自分が何とかしないと」と思い詰めてしまうタイプだったのでしょう。

面白かったです。よければ、また何か読ませてくださいね。