なぜか幼馴染みの美少女が俺の家政婦になっている。

もちお

第1話 プロローグ

 どんな物語にも、『困難』はつきものだ。   

 

 それが恋愛にしろ、スポーツにしろ学問にしろ、やっぱ恋愛にしろ順風満帆で舵を切れることのほうが稀である。


 いや、むしろそれだったら面白くない。そう、面白くないのだ。

 

 だってそうだろ? 恋愛界の名作ロミオとジュリエットだって、すれ違いもいざこざもなくゴールインして子作りして幸せに暮らしてたら中世のただの一般ピープル。


 織姫さまと彦星さまだって天の川で年柄年中イチャコラされたらロマンも感動もあったもんじゃない。

 

 だから俺の恋路に困難が付きまとっているのも、決して自分がヘタレというわけではなく、イケメンじゃないからというわけでもなく、スペックが驚異的に低いとかそういうことが原因というわけではなく、これはそう『宿命』なのだ。

 神様が「お前だったらこれぐらいの試練、ぺろっと乗り越えちゃうだろ?」と俺の潜在能力と魅力を見越して与えた試練。

 

 想像を超えるほどの燃えるような恋も感動も、他人とは比較にならないほどの困難を乗り越えるからこそ生まれるものだ。

 

 ましてや俺の恋路に前代未聞の困難と試練がつきまとっているのは、自分の力ではどうしようもできない一族のしがらみが存在しているせいでもある。

 

 だからこそ、もう一度ハッキリと言おう。

 

 この恋の物語に困難が伴うのは、俺が決してヘタレというわけではなく、そんな個人の力ではどうすることもできない宿命の壁が、目の前に立ちはだかっているからなのだと。

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