【第六話】王族狩り ⑧
「ハッハァァアアアアアアアアア!!イイね!!好みのタイプだッ!!こういう状況でなければ口説くものをッ!!」
シェルは雷の球体をここ一番で大量に作り出すと、恭司に向けて一斉に放った。
宙を飛ぶ数多の雷の球体はそれぞれがまっすぐ恭司に向かい、恭司にトドメを刺さんと空中を疾走する。
しかし、
恭司は刀を振り上げると、数多の球体を一閃で斬り落とした。
振ったのは1回で、巨大な三日月が全てを丸呑みにしたのだ。
恭司は叫ぶ。
「お前だけは許せない……ッ!!絶対に!!絶対にブチ殺す!!」
「アハーハァ!!やってみるがいいッ!!あの時の汚点を注いでやるゾォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
途端、
両者から凄まじい殺気と圧力が放出された。
冷ややかな殺意と熱い闘志が激突し、身を震わすほど恐ろしい迫力が場を包みこむ。
恭司の周りを渦を巻く大風は凶暴なほどに激しく吹き荒れ、シェルは今までにないほどの巨大な電流を身に纏った。
これこそ、
正真正銘、2人の本気の姿だ。
もうとっくに人間同士の戦いの枠には収まっていない。
神話やファンタジーの世界だ。
風と電流は空中で何度もぶつかり合い、いつ始まってもおかしくない一触即発の緊急事態と化している。
恭司はそんな中、一も二もなく真っ先に攻撃を仕掛けた。
「#@gaj/jujmugm#ッ!!」
もはや言葉にすらなっていない叫び声を上げ、恭司は特大の大三日月を網状に30発放つ。
シェルの視界は全てが風の刃によって埋め尽くされ、まるで死が津波のように押し寄せてくるかのようだった。
しかし、
シェルは剣を大きく上に振りかぶると、地面に当たるほど力強く降って、超巨大な雷の刃を作り出す。
ドガァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
雷の刃と風の刃は2人の中央でぶつかり合い、それがスタートの合図になった。
風と雷による巨大なエネルギー同士がぶつかった衝撃で瞬間的に視界が遮られ、たった一瞬の間が空く。
そして、
視界が晴れる頃には、恭司は既に前屈みになっていた。
太腿が風船を膨らますかのように肥大化していき、風が恭司の周りを包むように吹き荒れる。
もう待たない。
やるつもりだ。
「ハハァァアアアアアアアアア!!ビスを退けた技かッ!!貴様の正体も分かったぞッ!!あの砲撃からよく生きていたなッ!!」
シェルは尚も挑発する。
恭司は目から血を流すほどに狂乱した。
あの日のことは、10年経った今でも鮮明に覚えている。
子どもたちが、修吾が……
そして、
優香が亡くなった日だ。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!皆をよくもォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!優香ァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
王族狩りの足下の地面が割れる。
バキバキに破壊された地面を踏みしめ、王族狩りはパンパンに膨らんだ太腿の筋肉を爆発させると、そのままロケットのように突っ込んだ。
これこそ、
三谷の秘奥が一つ、『風撃閃』。
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