【第十一話】ティアル・サーライト 18

「全員、冷静に対処しろッ!!こんなに分かりやすい目眩しなんだッ!!誰も引っ掛かるんじゃねぇぞォォォォオオオオオオオオオオオ!!」



巨大な爆発が起きた一方で、煙の中からティアルの声が響く。


この中にはティアルを筆頭に、実力者が何人もいるのだ。


気配を感知することは勿論、皆冷静な頭を持っている。


煙を吹き飛ばすことだって容易だ。


スパイルが自分たちに近づけば、どこにいようと対処できる奴しかいない。


だが、


スパイルは城壁に向かってはいなかった。


敵が慎重に対処している内に、スパイルは準備を整えていたのだ。


煙が漂っている間に、敵の気が爆発に向いてる内に、スパイルはソレを描く。


後ろでドーバーや色んな奴が動き出す気配を感じたが、スパイルの方が早かった。


スパイルはそれを描いた瞬間に横へ避ける。


『炎陣』はーー完成した。



「さぁ、ショータイムといこう……。何人、生き残れるかな?」



途端、


スパイルが描いた炎陣の通りに、マグマの円柱が築かれた。



ドォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!



急に跳ね上がる熱気ーー。


瞬時に起こった戸惑いと焦燥ーー。


油を使った大爆発の余波が残る中、巨大なマグマが噴出し、思わず全員が仰反った。


ティアルすらもが後ろに引いた。


炎の槍にもブレスにも耐えるティアルだが、流石にマグマは別だ。


当たれば死ぬ。


だから、


スパイルはその隙に動いた。


城壁の前に立っている人間たちの中でも、戦闘力の低そうな所を狙う。


No.5からNo.9までの一桁は勿論等間隔にバラけているが、狙うのは当然、No.9だ。


スパイルは動揺に付け込んで一瞬の内に距離を詰めると、No.9の首を爪で刺し飛ばした。


ほぼ破裂したように見えるほど一瞬でNo.9の首から上をバラバラにしたスパイルは、他が襲い来る中、炎の壁を築く。


No.9の周りにいた人間たちは、その一瞬に燃やし尽くされた。


しかし、



「スパァァァアアアアアアアアアアイルッッッ!!」



そこで、


再びティアルの怒鳴り声が聞こえてきた。


ティアルは誰よりも早く、そして速く、スパイルの動きに気付き、襲い掛かってきたのだ。


ティアルはスパイルがNo.9を殺った隙に距離を詰めると、腕を伸ばす。


先端を槍状へと変化させたソレで、スパイルを捕まえにきたのだ。


そして、



「ぐあァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」



その突きは、またしてもスパイルの肩を抉ることになった。


さっきとは逆側ーー。


両側の肩に穴が空いて、あまりの苦痛に表情が歪む。


ティアルはそれを見ると、ニタァァァァァァと嬉しそうに笑った。

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