第134話

食事を終えると、早々に病院に行く事にした。


駐車場で、古城のスマホの着信音が鳴った。しばらく話した後、もう少しかかるらしく、


「ごめん、先に行っててくれる?」


「はい」


花音は先に母のところへ行くことになった。


(アンディ先生のところにあいさつに行きたいけど、邪魔になるかもしれないし。どうしよう……、古城さんはきっと行くと思うけど、私だけで行ってもいいのかな……)


悩んだ末、花音は先に母の所へ行くことにした。


「……あ……やだ」


父が郷田秘書を伴って歩いてくるのが見えた。花音は慌てて身を隠した。


(ほっ、私に気づいてないみたい)


二人が行ってしまうのを確認してから、花音は母を訪ねた。


「花音、大丈夫だった? お父さんに会わなかった」


花音の母は、心配そうに尋ねた。


「うん。ビックリした! でも運よく、私が先に気付いたから、隠れてたの」


「よかったわ。パパったら、郷田さんと来るなんて……。あの人だけはどうも好きに慣れないわ」


そう言って、花音の母は、フーと大きくため息をついた。


「若いのにハイクラスなものばかり身に着けて、自分に自信を持ちすぎている嫌味な話し方が好きになれないわ。香水もイヤ。パパ、何も感じないのかしら。どうしてあんな人が良いのかしらね」


花音は黙って頷いた。


(パパが気に入ってるだけならいいけど、私に勧めるのがほんとにイヤ……)


「今、お父さん達、ミラー先生に会いに行ったのよ。もうすぐ戻ってくると思うから、早く古城さんの所に行きなさい」


母に言われ、花音はひどく動揺した。



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