第74話
「今日の社長、ボクたちがケンカしたら慌てちゃって、おかしかったな」
「アンディがムキになるからだろ」
「そりゃ、親父の手の平で転がされたみたいに言われたら面白くないさ」
「お前のそういうところが子どもなんだよ」
「はぁ~。賢は説教が好きだな。じいさんみたい」
アンディが面倒そうに首を振った。
「あのな」
「……賢がボクに頼み事したのは、あの医療裁判以来だな」
「うん。お前は頼りになるからな。あの時、訪ねてくれて嬉しかったよ」
「ほんとかよ。なんか邪魔にされてた気がするけど……」
アンディが軽く睨むと、古城はハハッと笑った。
「でも、嬉しかったのは本当だよ。お前、怒ってたしな」
「そりゃ、事情を教えてもらってなかったからな。親父も親父だよ。全て知っててなんで話してくれなかったんだよ」
「上手くいくとは限らないし、オレと友人関係だっとことが汚点になる場合もある。人を見る目の無い奴はバカにされるから」
そう言うと、古城はコーヒーを飲んだ。
アンディは照れ臭そうにへへっと笑った。
「お前は友達多いし、結果が良くても悪くても付き合いは切れるだろうと思ってたからね」
「賢が三友の弁護人になった時、裏切られた腹立ちより孤独感の方が強かったんだ。これは自分でも意外だった。周りを振り返ると、気を許せる友人はお前しかいなかったんだな」
「そんな風に思ってもらって、有難いよ。オレは幸せ者だね」
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