第57話
「賢、アンディはまだか? もう、来てもいいころだろ?」
「はい。関空を出たと連絡きましたから、もう来る頃だと思います」
「はは、あいつの事だ、また寿司寿司と言うんだろうな!」
「そうですね」
二人が楽しそうに話してると、ノックの音がして扉が開いた。
「こんばんは! お久しぶりです」
流暢な日本語で挨拶したのは、金髪で青い瞳の美しい青年だった。
「いいところに来たな。今から飯を食いに行くところだ。お前も行くか?」
社長が親しそうに声を掛けた。
「もちろん、ご馳走になります」
当然とばかりニッコリ笑う。
「君が花音ちゃんだネ。私は医師のアンドリュー・ミラーです」
花音に気付いたアメリカの青年医師が握手を求めて来た。
「伊藤花音です。よろしくお願いします」
遠慮がちに手を差し出す花音に、アンディが言った。
「話は賢から聞きました。お母さんの事は、最善を尽くさせて頂きます」
(世界的なお医者様なのに、とっても優しそう……)
「有り難うございます」
花音は深々と頭を下げ、心を込めてお礼を言った。
古城とアンディが楽しそうに話している。
(凛ちゃん、どこかで見てくれてるかな……。凛ちゃんのお兄ちゃんのお蔭で、ママの病気が治るかもしれないの。もしかして、凛ちゃんが古城さんに引き合わせてくれたのかな……)
花音の視線に気づいた古城とアンディがにっこり笑い返してくれた。
「腹、減ったなあ~」
アンディが、胃の辺りを撫ぜながら笑って言った。
「アンディ、何が食いたい?」
「もちろん、寿司だよ。北新地のいつもの所に行こう」
アンディの言葉に、古城は(ほらね!)と花音に笑った。花音もニコッと頷いた。それに気づいたアンディが、
「なになに、どうしたの?」
と不思議そうに聞いた。
「お前は絶対に寿司だっていう話」
「ははは」
アンディがおかしそうに笑った。
「それじゃ、行くとしようか……」
社長はゆっくりと立ち上がった。
「早く、行こう。腹減ったヨ!」
アンディが先に歩き出し扉を開けた。
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