リア充爆ぜろ委員会
桐生夏樹
第一条 リア充爆ぜろ委員会
第一項 カップルを見たら、どんな手を使ってでも別れさせろ
――誰だ!
――彼氏って言ったヤツわああああああっ!
ここは私立
いわゆる最上級のお嬢様学校。
私は、この春入学したばかりの高校1年生。
うちの学校は必ず部活に入らなければいけない校則がある。
と言うこともあって、放課後、中学からの友達、
「はあ、ろくな部活無いなあ……」
理亞ちゃんは、「軽音部」、「美術部」、「茶道部」と言った部室の表札を見ながら不満気に
そんなこと言ったって
ちなみに私は軽音部に入りたかった。むしろ、高校に入ったら軽音部に入ろうと決めていた。
中学の頃は体育会系の部活だったのだけれど、高校の文化祭での軽音部の演奏を見て、興味が湧いたのだ。
「ねぇ。あそこに軽音部あるよ! 見に行こうよ!」
「あー……そんな定番の部活なんてつまらないよ。つぎつぎ……!」
けれども、理亞ちゃんは軽音部の部室には目もくれず、表札を眺めながら早足で進んでいく。
文句を言いつつ、特に入る部活を決めていない理亞ちゃんと、付いてきているだけで何の決定権の無い私は、渡り廊下を渡って、いつの間にか別館まで来てしまったようだ。
別館は薄暗くて、お化けが出そうな雰囲気を
ずんずん行ってしまう理亞ちゃんを呼び止めようと声をかける。
「ねーねー理亞ちゃん、どんどん先に行かないでよー!」
「行く行く! 絶対、こう言う所に、面白そうな部活があるんだよ! さあ、いこいこ!」
「ええー。絶対やめといたほうがいいよー。なんか怪しいよー。」
「うーん、だってさ。今まで見た、どの部活もイマイチなんだよねー。」
それにしても、別館の雰囲気、とても不気味だ。
夕暮れと言うのもあるけれど、蛍光灯は切れかかっていて、チカチカと不定期に点滅し、薄暗くて先がよく見えない。そして、人の姿は見当たらず、ただただ、部室のドアが並んでいた。
「薄暗い中に、整然とドアが並んでるのって、怖くない?」
「だーいじょうぶだって! さあ。いこいこ!」
「うう、嫌だなあ……ちょっと待ってよー。」
理亞は、私の言うことには耳を貸さず、歩みを止める素振りが全くない。
もう私は、お化けでも出てきそうな、おどろおどろしい雰囲気に、恐怖しかなかった。
すると、理亞ちゃんが、いきなり
「やや?! なんだここ? リア充
どうやら、理亞ちゃんがお目当ての部活を見つけたらしい。
「何それ?! いやいやいや。爆ぜろとか、絶対ヤバいよ。怖いよ。やめとこうよ。」
「名前からして、ぶっ飛んでるよね。説明だけでも聞いていこうよ。」
理亞ちゃんは嬉しそうに、私の右手を引っ張った。薄暗い部屋に似つかわしくない晴れやかな表情で。
理亞ちゃんが、こうなったら、私に拒否権は無い。答えはYESしかないのだった。
「うう……イヤだなあ。」
「大丈夫だよー。いくら何でも殺されるわけじゃないんだから。」
「そーだけどさー。」
――コンコン
理亞ちゃんは、部室のドアをノックした。
しかし、中からは何の反応も無い。
「こんにちはー!」
挨拶をする理亞ちゃんは、中から反応がないことを不思議に思い首を
――コンコン
――コンコン
「うーん……誰も出てこないな。すみませーん!」
しかし、部室の中は、依然とシーンとしていて、理亞ちゃんの呼びかけに誰も反応することは無かった。
反して私は、何も反応が無いことに安堵する。
「まだ誰も来てないみたいだね。さ、帰ろう!」
――カチャ
「あ、何かあいてるよ?」
理亞ちゃんは、私の言葉を無視して、ドアの取っ手を
鍵はかかっていないのか、スッとドアが開く。理亞ちゃんは「しめたっ」と言う表情でニヤリと微笑み、隙間から中を覗いた。
って、いやいやいや、マズいっしょ。間違いなく不法侵入だよ。
「ちょっとー。勝手に入っちゃマズいよー!」
「いーからいーから。すみませーん! 誰かいませんかー?」
理亞ちゃんは
「理亞ちゃん、怒られるからやめようよー。帰ろうよー。」
声を掛けるが、ここで「はいそうですか。」と引き下がる理亞ちゃんでは無い。むしろ、私の言葉が耳に入っていないようだ。
理亞ちゃんは部室奥に掛かっている額縁を見上げた。
「あ! 額縁に何か書いてある。なになに?
=====
リア充爆ぜろ委員会五箇条
第一条.男女恋愛禁止
第二条.男と話すことも禁止
第三条.むしろ男とは2m以上離れろ
第四条.カップルを見たら敵と思え
第五条.カップルを見たら、どんな手を使ってでも別れさせろ
=====
……うわー。すご。」
なんですって?!
これって、スゴいと言うか、絶対ヤバいヤツだ。
「それって私たちが来ちゃダメなところじゃない? だって理亞ちゃん彼氏いるし……」
――彼氏……だと?
――誰だ?!
――彼氏と言ったヤツわああああああっ!
「ひゃあ!」
「ひゃあ!」
私が「彼氏」と言うキーワードを出すや否や、背後から大きな叫び声が聞こえ私たちは跳びあがって驚いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます