第三十匹 有坂
俺の読み通り、進んで行った方角の森を抜けた際に、目的地の集落が見た。
「わぁー、アキトさんの言う通り村がありましたね」
「まぁ、当然だろうな」
そして、俺達は村に到着する。
着くとさっそく集落会議を開いてもらって、村人達にイノシシの群れの寝床とヌタ場を発見したことを報告する。
「それは本当べか、それじゃあさっそく。狩りに行くべか? 」
「そだべ、そだべ、善は急げだべ」
逸る村人達。
「まぁまぁ、すぐにでも仕留めたいという気持ちはわかるが時期尚早だ。
準備不足でこの群れの一頭を斃したら、ほかの奴らは警戒してしまって仕留めにくくなるだけだ。ここは俺にまかせてくれ」
「あ、アキトさんがそげ言うなら、待つしかねぇだな」
そう俺が諌めると村人達は理解してくれるのであった。集落会議が終わると俺達は、一旦、古屋敷に必要なものを取りに帰る。
そうして、屋敷に戻るとスミスの旦那が俺達のことを待ってくれていた。
「待ちかねたぜ、アキトの旦那。ようやく、ライフル銃の改良が終わったところだったんだ。ほれ、新しい小銃だぜ」
その小銃の見事な造形美に俺は目を奪われる。それにこの猟銃は、村田銃より重心バランスが良い印象を受け、ボトルアクションを試しにするとローディングがしやすい。
「アキトの旦那の死んだおやっさんが残した設計図によれば、有坂銃といって、主な改良点は前の村田銃みたいに排莢を一々手動でしなくて良くなった点だな」
「それはいいな。素早く銃弾が撃てるようになったんだな。スミスの旦那、良い猟銃をありがとうな」
俺が礼を言うと、スミスの旦那は
「ははは、そう面と向かって言われると照れるぜ。それじゃあ、アキトの旦那・・・、しっかりとこの猟銃で獲物をどんどん狩っていってくれよ。
それと、弾はこいつを使ってくれよ。有坂銃用の6.5mm×50SR 三十年式実包」
その銃弾をもらって、俺はその違いにすぐ近づく。それは、前の村田銃の弾より少しだけ小さい。
「スミスの旦那、この弾は少しだけ小さいんだが威力はちゃんとでるのか? 」
俺がそう問うと、
「ああ、だが、弾の形状はタマゴのような形になって、村田銃の平頭弾丸より空気抵抗を受けにくくなったんだ。これにより、より狙いやすくより速い速度を出せるようになったんだ。だから、ちゃんと狙えば獲物に致命傷を与えれる。でも、そこの足りない部分は、旦那の射撃技術なら補うことができるだろうと、俺は絶対的信頼を置いてるからな。」
と、スミスの旦那は俺の射撃の腕前を考慮して作ってくれたようだ。
その信頼と、この有坂銃という良い猟銃に改造してもらったからには、なんとしても最高の成果を報告しないといけないと、俺の狩猟本能が荒ぶり高鳴るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます