90%のソフィア

紀城ゆう

0.序章

今から、君の居心地が悪くなるような事を言おう。


人は大人になればなるほど、素直に生きられなくなる。やりたいことにも"やれない理由"を探しては自分に言い訳をする。

仕事が忙しくて。家族がいるから。時間がなくて。環境が悪い。それを否定はしないよ。ただ、そんなありふれた理由で、自分で選んだ道を自分で言い訳する。誰かに言い聞かせているようで、言い訳するのは結局自分に対してだ。

大人になるまでの過程で夢を叶えられない事を知ってしまった君達は、何かを諦める事に慣れてしまった。


そりゃあ、人一人の人生で出来ることなんて限られている。アイドルになった人が普通の生活を送れないように、普通の人生を選ぶ事だって沢山のものを犠牲にしなければならない。

君の身体はいつだって1つだ。

けれどその1つの身体の中で、1つだけ無限大に出来ることがある。


なんの技術を持たずとも、特別な知識を得ていなくとも、子供でも大人でも、男性でも女性でも、どんな人間にも平等に与えられるもの。



"考えること"だ。


この世界では経験してることより経験してないことの方が圧倒的に多い。しかし、経験してないことでも頭のなかで想像すること。想像を働かせること、物事や事象の発端を考えること、目の前の人の感情を推し量ること、人の本質を考えること、限られた人生の中でどうすれば良く生きていけるか。


そんな事を考えて、と他人に馬鹿にするかもしれない。貴方が考えても意味がないと他人に悟されるかもしれない。


でも、誰かの為に考えるのではない、君がやりたいのであれば、考えたいのなら、そうすればいい。それは後に君の為になるよとは言い切れないから、未来の自分の為ではなく、今の自分の為に、それをすればいい。


頭の中では自由だ。なんだって出来る。言い訳はいらない。




人はそれを"哲学"と呼ぶんだよ。

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