『恐怖! 開かずの押し入れ』

やましん(テンパー)

『恐怖! 開かずの押し入れ』

 『このお話は、フィクションです。開かずの押し入れがあること以外は。中身は、亡き両親の衣料です。』




 やましん宅には、かれこれ30年は、開けたことがない、押し入れがある。


 扉の前には、様々な物たちが立ちふさがり、侵入者を拒んでいるのだ。


 しかし、やましんは、最近になって、気がついたのである。


 なにやら、夜な夜な、怪しの音が奥側から、聞こえてくるのだ。


 そこで、やましんは、ついに荷物をどかして、開けてみることにした。


 それは、じっつに、たいへんな、作業であった。


 次々になだれが発生し、すぐに空間を埋めてしまうのである。


 真冬でも、おお汗をかきながら、半日かけて、ようやく、扉が見えたのである。


 あとは、開けるだけになった。


 それで、扉に耳を当ててみると、案の定、あやしい音がさかんに聴こえてくる。


 『こ、これは、なんだろう。あきらかに、複数の音がする。ラジオや、楽器ではない。意味もわからない。宇宙人か。押し入れ人か。』


 やましんは、両手で扉を恐々と、引っ張った。


 『あり、開かない。なんだろう。よいしょ、と。』 

 

 しかし、扉は、頑として開かないのである。


 やましんは、気合いを入れ直した。

 

 そうして、こんどは、満身の力を込めて、引っ張ったのである。


 ばらばらあ〰️〰️〰️〰️〰️❗


 扉は叫ぶように、唸りを上げて、開いたのである。


 『え? なんだ、こら。』


 それは、地震ですべての窓側が破壊されたビルのようだった。


 内部は、5階建ての建物のように、区切られ、各フロアーには、たくさんの、住人がいたのである。


 『うぎゃー。』


 やましんは、後ずさりし、しりもちをついた。


 しかし、驚いたのは、内部の住人も、同じであったようだ。


 みな、こちらを見つめて、固まっている。



 すると、最下層から、すごすごと出てくるものがあった。


 顔馴染みの、ごき大佐である。


 『あの。やましんさん。すいませんごき。まさか、崩れるとは。もう、使わないのかと思っていたごき。あの……………。』


 『ななななな、中身は、中身は、どうしたの。』


 『さあ、それは、わからないごき。このビルは、ねこママが開発したんです。ごき。先々月開業したごき。』

 

 みれば、階段があるし、それどころか、エレベーターが動いていて、ビルの内部は、明々と、灯りが入っている。


 『なんか、先月から、電気代が上がったと、おかしいとは、思っていたんだがあ。………』


 『一階は、ごき軍団情報部と、世界ごき連合の事務所。2階は、どぶネズミ連合の、事務所と、合同会議室。3階は、イエねずみ協会と、動物連盟の事務所。4階は、のらねこ協会の本部。5階は、管理事務所や、コンピュータールーム。地下には、売店や、クリニックがありまごき。あの、賃借代は、ママが払ってるとか…………..』


 

 やましんは、無言のまま、扉を閉めて、自室に入り、寝てしまった。


 あとで、地下の、ねこママの店に、殴り込むつもりになっていたのである。


 まさに、宇宙ごきによる、あの、地球侵略戦争が始まる直前なのである。


 時代は、大波乱の世となりつつあった。


      😸

 


 


 

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『恐怖! 開かずの押し入れ』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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