第2話 妹はなぁ!

 学校に到着した。


 あれ以来二週間が経つ。


 あれ以来、理由はないけど何となく電車を避けて別に遠くないから自転車で登校している。


 僕の教室は2階の1年3組、男女の数がトントンで学力もバランスの取れたクラスだ。


 ソレは入学式から2日目に行われた実力テストってので発表されている。


 僕も特に問題なく数人の友達を作って下らない話に花を咲かせ授業では軽くノートを取り趣味の落書きをして、およそ普通の男子高校生になりきっている。


 一つ問題があるとするなら例の日を境に僕のスマホに消すことも開くこともできない、ソレどころか移動させることさえ出来ない不気味なアプリが居座ってることだろうか?


 開けないって存在理由の不明なアプリだが、ソレが増えたからって何か異常が起こったわけでもない。


 だから今の所は放っといてる。


 そんな僕の学生生活だが、何というか、、、


 平穏じゃない、かな?


 そう、平穏じゃないのだ。


 と言うのは、昨日の話なんだけどいつも通り自転車で帰ろうと自転車小屋に向かっていた僕の行手を一学年上と名札を見てわかる男が立ち塞がった。


 後ろの人はいなかったし邪魔にはなってないんだけど、、、


 うん、僕にはすごく迷惑だよね。


 身長は僕より少し高いから175センチ以上、まあ小さくはないけど別に大きくもない身長で横に少し大きい。


 無論だが僕とコイツ (名札を見る限り須藤というらしい) には何の設定もない。


 言ってみれば初対面の赤の他人だ。


 そんな訳で僕には絡まれる覚えがない。



「あの、道塞いでますよ?」



 僕はそう言うと何故か僕を上から凝視する男の目に目を合わせた。


 すると男はもともと険しかった顔を更に険しくして口を開いた。



「てめぇ、俺の妹に手ェ出しやがったろ?」


「、、、誰さんの話ししてます? 僕童貞なんですけど?」


「そりゃそうだろ、彼女いる奴が脅迫なんざしねぇだろうよ」


「脅迫っすか、いや覚えないっすけどね?」


「舐めてんのかテメェ? ぶち殺されてぇのか?」


「いや別に殺されたくないですけど? 誰かと間違えてません?」


「んな訳ねぇだろ! 俺ぁ見たんだよ! テメェが妹盗撮して脅迫してるところをなぁ!」


「いや、言われてもわかんないっすね」


「あんときゃビックりしたぞテメェ? シャッター音が聞こえたと思ってその方見たらテメェがニヤニヤしながら妹の方行くんだからよぉ?」



 そこで僕は、やっと状況を把握した。


 この人、僕が助けた女の子のお兄ちゃんだ。


 そう思って見れば所々似てる。



「ああ、その事ですか〜 ソレなら勘違、」


「やっぱりテメェかこの雑魚ちんこ隠キャあぁぁぁ!」



 僕が得心いったとスッキリしていったら挽回する前に男が僕のネクタイを鷲掴みにして顔を近づけてくる。


 いや〜


 僕はてっきり唯の不良かと思ったけど良いお兄ちゃんだったか〜



「いやいや違いま、」


「アイツはなぁ! 俺のアイドルなんだよ! 俺たち家族のアイドルなんだよ! 宝物なんだよ! テメェみたいなクズ野郎に犯されて良いような軽い女じゃねぇんだ‼︎」


「えっと、ですね? ちょっと写真見ますか? ソレで誤解が解けると思うんで」


「ああ⁉︎ 何言ってんだゴラァ!」



 僕は話が通じなさそうだな〜と思いつつも何となく手は上げたく無かったから空いてる手でポケットのスマホを出し指紋認証を超えて開いた写真を男に見せた。


 そこに映っているのはおじさんが女の子のスカートを撫で回してる光景、電車の中で揺れたからブレてるけどパッと見てわかる程度にはキチンと撮れてる。



「ぶっ殺すぞテ、あぁ⁉︎ 、、、あれ?」


「分かってくれました?」



 僕は言うとスマホの画面を操作して写真を拡大し触ってる手を拡大して見せた。



「あれ? 痴漢っ??」


「僕アレですよ? おじさんと話してたんですよ?」


「は? え、はぁ? え、どうゆぅ、、、は?」



 戸惑った様子で分かりやすく混乱する男の腕を叩いて僕は、、、



「分かったら離してもらえません?」


「え、ああ、、、」



 様子を変えず手を離した男を無視して僕はネクタイを軽く払って自転車小屋の自転車に乗り男とは逆の道を通って帰路に着いた。

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