ベッドの上で。
太田エイ
ベッドの上で。
事故以来ずっと病室のベッドにいる。治ってないのか、後遺症か、頭がぼんやりしている。
そんな中、時々やってくる看護婦さんが話しているのを聞いた。なんでもこの病室に幽霊が出るらしいのだ。ゾッとするが意外と冷静、毎日ぼんやりと過ごしているので、何か感情が麻痺してしまったのか。実際に幽霊を見ることもなかった。
ところがある日、俺のベッドに知らない男が入り込んできたのだ。え? 幽霊? 幽霊ってこんなの? いや、待てまてまてまてまてまて。いつもの看護婦さんも無表情である。声をかけてもそれどころでは無い感じがした。
ちょっと退いてどいてどいてどいて。
何とかベッドから追い出そうと手で押したり足で押したり全身で押し続けたがびくともしない。しかし、なにかうなされているようなうめき声を上げ始め、突然静かになった。
これで一安心、看護婦さんが気づいてくれるだろう。突然、部屋が慌ただしくなった。そう、その男は死んだようなのだ。
俺は人を殺したのか? いやいや、ここは病院、何かしら病気の人が私のベッドに潜り込んできて、何故か死んだということで、きっかけは与えたかもしれないが、寿命が尽きたと考えるべきであろう。
しかし、なんで僕のベッドに入ってくるのだ? それも、看護婦や医者、その他知らない人々もその場にいて不思議に思わないのか?
いや、ちょっと変だぞ?
そうか、わかったよ。俺だったのか。
あぁっ。
ベッドの上で。 太田エイ @_akirana
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