娯楽小説として非常に優れた作品。
硬派な表現を保ったまま読みやすさを実現している。
異世界ファンタジーで最近良いものに出会えていないなら、本作品を読んでもらいたい。
誤字や「うってつけ」「もってこい」が混ざった「もって付け」という表現が気になるが、それを除けば過不足ない描写で情景が思い浮かぶ。
特に描写が難しい戦闘シーンは緊迫感あふれるものでお勧めだ。
人物は個性豊かでそれぞれの考えをしっかり持ち、いきいきとして魅力的。
また、人名地名はロシア語とドイツ語に基づいており、統一感があって非常に良い。
舞台設定は非常に緻密で、住人の態度や行動に説得力がある。
これらが功を奏し、ご都合主義を感じることで起きるストレスがない。
古典的なファンタジーを読んでいる歴戦の猛者から、最近のファンタジーを読みこなしている期待の若手まで、幅広く勧められる作品。
続編も始まっており、続きが待ち遠しい。