閑話 負っけんなよ、マッケンナくん④
~~~カッテルの手紙の続きとマッケンナの独白
そして、カナはもう、オレの言いなりよ。
最近は、ムネも膨らみだして、オレの大人の機能ももう少しで開花するだろうから、また楽しくやれそうだぜ、あはははは。
それでよ~、最後に教えといてやるけど、あんたの10歳の才能試験でお腹が痛くなっただろう?
あれはさあ、あんたがいつも飲む濃い目のコヒーに、オレが薬を入れといてやったのさ。
よく効いただろう?
くっくっくっく・・・・。
それから、このクッキーにはカナの愛情しか入ってないから、大丈夫だぜ?
えっ、誰への愛だって?
くっくっくっくっく・・・。
オレに決まってるだろ?
ああ、全部、食べてやれよ。
あいつ、指を怪我しながら、がんばってオレの為に作ったんだからな
もうひとつ、あんたの事は、怒らせると何をするのかわからない怖い旦那だから、結婚したら粗相のないように、愛してるカナのため、オレが特に夫婦の営みについて身体を使ってカナに教えてやってるってことで、今もカナはがんばってるから、期待しといてくれよ!
追伸 きっと、愛のない、いい夫婦になるぜ、あんたとカナは。そして、夫婦になってからも、オレが優しく、あんた達夫婦を応援するから。とくにカナのことは何でも任せてくれ、何でもな!もう、カナはオレしか愛せない身体だし、心からオレを愛してるんだよ。いい加減、わかれよな。あんた、頭がいいんだろ?まあ、オレを愛するカナを抱くのって、気持ち悪いヤツなのかもな、あんたは!
オレは、この手紙を破りたかった。
でも、これは証拠になる。
オレは、悔しさをかみしめながら、この手紙をまた、折り返した。
すると、手紙が淡く光り、燃えて無くなった。
どこまでも、卑怯なヤツだった。
そして、まさか、全部アイツが仕組んでいたとは。
それに、飴玉とかケーキとか、今更ながらアイツにやるんじゃなかった。
ちくしょう!ちくしょう!
カナを救いたい。
アイツに出会ったせいで、彼女の人生が滅茶苦茶になる。
オレは今度こそ、好きになった人を救うんだ!
でも、証拠もない。
相談する大人も居ない。
オレは、どうしたらいいのかわからなかったが、決意だけは、この日、固まったのだった。
そうして、すぐに、王立学園への入学試験があった。
オレは英才トップだったので、余裕でトップ合格した。
王立学園は、S組からD組まである。
オレはトップだったので、S組だ。
カナは惜しくもA組になった。
S組には、多彩な人材が居た。
隣の席になった、順位2位のシャロン=ミラージュは、お人形のように綺麗で・・・えっ?ミラージュ伯爵家?
あの姉さんが嫁いだ先の伯爵家の子?
なんてこった!
嫌な予感しかしないぞ、これ!
シャロンは、オレを見ると、にっこり笑った。
「マッケンナくんよね?覚えてるかな?」
「えっ?・・ああ、知ってるよ?」
「私、あれから強くなったから、またマッケンナくんと対戦してみたいなって思うんだ。いいでしょ?」
「また?・・ああ、大丈夫だ」
「うふふ、それじゃあ、昼食の後で勝負よ!」
その勝負は、噂となり、野次馬が沢山詰めかけた。
その中には、カナも居た。
カナは、両手を組んで祈る様にオレを見ていた。
この試合は、剣の試合で、魔法無しだ。
剣は、練習用仕立ての為、当たっても切断は出来ないが、アザが出来る程度の打撃力はある。
「行くよ!」
彼女は言うが速いか、打ち込んできた。
勝負は一瞬で終わった。
彼女の剣は、弾かれて、野次馬の方に飛んで行った。
弾いて相手の剣を飛ばす技は、オレの十八番だ。
魔法が使えない時の必殺技だった。
シャロンは、さすがは私の彼氏だわと言って、オレの彼女になった。
見物していた女子達は、目がハート型になっていた。
あれが学年一位のマッケンナくんよ、知ってた!
私の憧れの人が来たーー!
なによ、私の王子さまよ!
私、告ろうっと!
あなた、自分の顔見たことあるの?
見物していた男子達は、あいつについて行ったらおこぼれあるかもとか、あいつと仲良くなっただけで女子と話せるとか、シャロンが美しすぎるとか、盛り上がっていた。
こうして、シャロンと急速に仲良くなった。
カナにも、シャロンのことを紹介するといつの間にか仲良くなっていた。
そして、オレは、カナの事、弟の事、オレの受けた胎教の事などをシャロンに話す。
「何よ、そんな事、簡単に解決できるわ」
「えっ?」
「あなたが弟くんに勝てばいいのよ」
「だから、オレは負けてるんだから」
「いつの事よ?」
「あれは、剣の打ち合いを禁止された8歳の頃だな」
「はい?だったら、絶対大丈夫だよ」
こうして、休みの日に、なぜかミラージュ家の剣の稽古場で、試合をすることになった。
もう勝手にシャロンが話しをつけてしまった。
立会いはこの家の爺さん執事で、ウチの母親とシャロンの母親とシャロン、カナが応援に来ていた。
試合形式は、剣のみの対決。
「始め!」
「おりゃーー! 」
カッテルが打ち込む。
それは、まるでシャロンとの対決でのデジャブだった。
打ち込まれた剣は、弾かれて宙に舞った。
オレは、剣を弟に突きつけた。
「勝負あり!」
「いや、これは剣技だけだから。魔法なら負けない!」
「じゃあ、勝負しなさい」
はあ?また、シャロンが勝手に決めた。
オレ達は、外へ出た。
「では、魔法勝負。危なくなったら、わたくしが御止めしますので、思う存分おやり下さい」
この爺さん執事は何者だ?
そう、一瞬思ったが、試合がすぐに始まった。
小火球が10個オレに向かって放たれようとしている。
オレは、得意の大火球を放つ。
オレの大火球が小火球とぶつかり相殺され、爆煙を隠れ蓑にしてオレは弟に接近し、腹に魔力を込めたコブシを
カッテルは、シールドすら張っておらず、あっさりとくの字になって蹲る。
オレは、コイツの顔をタコ殴りした。
もちろん、魔力は込めない。
ただ、自分のコブシが壊れないようにガードをしといたけど。
これは、カナのぶん。これもカナのぶん。全部、カナのぶん!
そう言って、オレはコイツの顔を無残なモノにした。
コイツは瞼も唇も頬も腫れあがり、瞼も唇も頬も口の中も切れて血だらけになった。
その時だった。
「もう止めて!マック!もういいでしょ!」
「カナ、君は洗脳されているんだぞ!なんで止めるんだよ」
「マック、ごめんなさい!わたし、謝ろうと思っていたの。わたしが全部、悪いのよ!」
「はあ?何を・・。君は、騙されてるんだぞ!」
「私は、最初からカッテルが好きだったの。でも、私達の言い分を無視して、親たちが勝手にあなたとの婚約を決めてしまって。だから、カッテルは、自分が悪者になって、あなたが私の事を嫌うように仕組んだの。私も少し協力したんだけど、あなたを追い詰めることになるなんて思わなかった。ごめんなさい!」
「ごべんよ、兄貴・・・いづもの兄貴なら、ずぐにギレで、僕等を怒ってずぐに婚約破棄になると思っだんだ」
カナや執事がヒールを掛けて、けがを治していく。
すぐにキレるとか、何回か言われたが・・・そうか、カナが来た最初の頃から親に言われるまで、オレはよく叱ってたっけ?
「・・・でも、おかしいじゃないか、おかしいよ。だって、あの虫の事件はどうなるんだよ!アレ、おかしくないか?完全にオレをハメただろう?婚約前の話しだぞ!」
「アレも、手紙にウソを書いたんだ。こう書いたらオレのこと、絶対怒ると思って。アレはホントに事故だよ。僕がカナをからかったんだ。そしたら、カナが兄貴にオレをとっちめてもらおうと告げ口したよね。でも、僕は兄貴にホントのことを言ったよ。そしたら、いきなり殴られて。僕は、それで怒ってウソをでっち上げたんだ。そしたら、大ごとになって、引くに引けなかったんだよ」
「えっ?たしか、おまえは、ムネを揉んだとか言っただろ?」
「ちがうよ、例えばの話しだよ、アレは!ムネなんか揉んでないから。揉ましてくれなかったよ、まだ」
シャロン「もう、エッチなんだね、男の子って」
カナ「わたし、洗脳とかされてないから。そんな事を書いたテルが悪いよ。わたしがバカみたいじゃない?テル、酷すぎるよ」
「ごめん、書いてたら、ノッテ来ちゃって。兄貴、だから、オレ達のこと、許してくれ。出来たら、カナとの婚約は解消してくれ、頼む!」
「・・・・そうかよ。お前たち、何で素直に言わないんだよ!それと、ケーキとか、アレはどうしたんだ?」
「ケーキは、カナと一緒に美味しく分け合って食べたよ。それから、オレ達の事、言いたかったけど、兄貴は婚約したらすぐに英才教育で忙しくなって、話すヒマもないし、婚約を解消しろって言ったら、また殴られそうで事件になりたくなかったし。オレは英才教育は断ることができたけど、兄貴にはヨーデル家を守ってもらわないといけないから、英才期間は余計なことを考えずに頑張ってほしかったんだよ。だから、何も言えなかった。でも、見られたし、この機会を利用して兄貴を怒らせようとしたんだ。でも、何も言って来ないし。それに兄貴もカナのことが好きだったんだろ?」
「そ、それは・・・」
「もう、あんな事件になるの、嫌だったし。喧嘩したくなかったから。この試合でボコられたんだから、許してくれる?」
「それは、おまえ、全力で来なかったってことか?」
「いや、ちげーよ。ほぼ全力だよ」
シャロン「さあ、さあ、これで仲直りだね。それから、婚約は解消だよね。それでいいかな?お母様方?」
「よくわかったわ。ごめんなさいね、マック。全部、母さんが悪かったわ」
「それじゃあ、みんな、予め知ってたの?」
「うふふふ、あなたは口で言っても信用しなかったんじゃない?あなたって、イケメンの優男ふうだけど、熱い魔力を感じるのよね。そこが、好き・・えっと、わたし、カナから全部聞いて、あなたと言ってる事が違うのがわかったんだ。でも、これで解決だよね」
「そうですよ、マッケンナくん。あなたは、これからシャロンの婚約者って事になるわ。シャロンの母よ、よろしくね。でも、小さい頃に会ったわよね。あの時からシャロンがあなたに」
「そういうのはいいから、お母様!」
「えっ?シャロンと婚約?」
それからは、シャロンとカフェでデートする度に、ケーキを食べるようになったんだ。
~~独白終わり
「どうだ、ユーマ!良い話だっただろ!」
「なんだよ。惚気なのか、これは!凄い大変なことがあった風な感じで、お前、役者ができそうだよな。なんか、今までの時間を返してほしいぜ。奢りだな、これは!」
そう言って、ユーマは、チョコレートデラックスケーキ2人前を頼み、ひとりで平らげるのだった。
すると、負けじとマッケンナも2人前を頼み、ケーキで熱い戦いが繰り広げられた。
「なあ、ユーマ。オレ、この前、帝国の王子と戦ったんだ。その時、王子を瀕死にさせちゃって」
「お前って、やっぱ、すぐキレるヤバいヤツなんだな」
「ちげーよ。あの時、オレ、ミラージュ家の禿げ親父から魔剣をもらって、護身用に持てって言われて。なんか、親父の親戚の友達からオレにって言われたらしい。ステルス性だから、試合に持っててもわからないからって。危ない時に念じたら使えるって、それで」
「ふーん、それで、姉さんとは話したの?」
「えっ?ああ、あの禿げ親父、実は良い人だったし、今もラブラブだよ」
「ふーん」
トーマは、自分を暗殺しようとした何者かに思いを馳せながら、話しを逸らした。
でもこの時はまだ、これから新たに始まるホントのNTRの事も知らずに、彼らは甘いケーキをパクつくのだった。
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