第120話 サヤカとルーシー、おまけでアーネは?  


 ここは、フランツ王国。


 サヤカは、またしても、あのクソ第一王子のジョンに追いかけられていた。


「たすけてーー!!」


「おい、待てよーー!!オレの話を聞いてくれよーーー!!」


「ちょっと、お待ちください!」


「何者だ、貴様!オレを第一王子と知って言ってるのか?」


「たとえ、第一王子であろうとも、もう子供ではありませんので、後宮への出入りは許可がなければ立ち入ってはいけない決まりです。どうぞ、お引き取りを」


「なにを!お前の名前は?」


「後宮護衛騎士筆頭ルーシー=シフォンと申します」


「ふう~~~ん、えへへへ、まあ、お前でも良い。ちょっと付き合え」


「仕事中です。それに、あなたの事を閣下に報告します。早く、ここから立ち退きなさい!」


 そう言うが早いか、レイピアをジョンの眼前に突き出してきた。


「は、はやまるな・・冗談だよ、冗談。ちょっと、後宮の警備が万全かどうか、確かめたかったんだよ。王様には内緒な?」


「はい?それが他人にモノを頼む時の態度か?ええっ!おまえ、地獄を見せてやろうか?」


「す、すいまっせんです~~。もう二度といたしませんです~~。それ以上鼻先に剣先を近づけられると、鼻に穴が開きます~~。勘弁してくだっさい~~」


 すでに開いている二つの鼻のアナをひくつかせながら、ジョンはひたすら謝った。

 すでに、ジョンは、涙を流していた。

 アソコも、少しちびり、足を伝って流れてきていた。


「臭うぞ、お前!二度と、そのつらを見せるんじゃねーぞ!わかったら、とっとと消えろ!」


 よろけながら、ジョンは逃げて行った。



「申し訳ありません、第一王女!護衛騎士筆頭ルーシー、閣下よりこの任務を承って、命を懸けて閣下の大切な方々をお守り申し上げていましたが、この前の時といい、度重なる失態、死してお詫び申し上げます」


 そう言うと、レイピアを自分の首元にてがおうとした。


「待って下さい!!そんな事で、命を粗末になさらないでください!私は、もう、大丈夫なので。それから、ありがとう、いつも」


 そう言って、サヤカはルーシーの手を優しくとった。


 ルーシーは、それでも、硬い表情のまま。


「わたしは、閣下の命令通りにできなければ、いつでも死にます。死なせてください」


「ダメです!絶対、ダメです!これは、あなたの、その閣下の娘である私の命令です!死ぬのは、許しません」


(なぜ、ルーシーと話すと、いつも、こうなるの?お父様は、どのような命令をされたのかしら?ルーシーがかわいそうだわ。それに、彼女、いつも、ちょっと、表情が・・・どこかに自分の感情を置き忘れてる感じがして・・・)


「ですが、わたしには責任がございます」


「そう?それじゃあ、私にも責任があります。あなたを失ったら、私の責任問題になるのよ!」

(ちょっと、強引かしら)


「そ、それは・・困ります」


「ルーシー、今はここに用があって来てるので時間がないけど、今度、もっとお話ししましょうね?」


「それは、御命令でしょうか?」


「はい、命令です」


「はっ、わかりました。その時が来ましたら、お知らせください。私は、いつもここに居て、ここをお守りしてますので」


 こうして、サヤカはルーシーと、もう一度、話すことにした。


 サヤカは、前から、ルーシーとの会話には違和感を感じていた。


 そして、聖女としての能力が開き始めた今、そのことに、ある種の確信を抱き始めていた。



 ~~~~~~一方、帝国学園にて


 あの日の翌日の昼食時。


 ジェイ「そうか~~、あははは、別にいいよ、もうそのことは」


「ごめんなさいね、みなさん。でも、私の勝手で、私だけトーマ王子様と呼びますが、あなた方は、トーマで構わないという事なので、トーマって気楽に声をかけてあげてくださいね」


 リッツ「あはははは、それ、トーマが言わないといけないヤツじゃん」


 フローラ「うふふふふ、そうよね、アーネって、旦那様を尻に敷くタイプなんでしょうか?うふふふふ」


「えっと、そんな事は・・・」

 アーネは顔を赤らめた。


 ジェイ「ダメだよ、アーネをイジメちゃ~」


(ジェイはアーネ、アーネって・・・・byフローラ)


 フ「ところで、私たち、次の筆記試験が終わったら、また、打ち上げパーティーをあのメンバーでしない?面白かったものね?ねえ、どうかな?」


 ジェイ「それは、ステキな提案だね!みんなも賛成かな?」


 ジェイは先手を打って、賛成を促す。


 もちろん、フローラの意見もヤラセなのだが、フローラはホントにパーティーをしたかった。


 フローラはフローラで、想いがあり、その他のメンバーも同様なのだった。


「ああ、いいぜ」

「もちろん、賛成だよ」

「いいんじゃない」

「ぜひ、参加したいわ」


「・・・・・」

 セーラは無言だった。


 ア「えっと・・でも、わたし・・・」


 じぇ「アーネ、みんな、君と話したいみたいだぞ!人気者だね。トーマが来ない分、がんばって、みんなとコミュニケーションをとることも大切な事なんじゃない?それが、トーマのためにもなるんだからさ」


 ア「えっと、そうですね・・わたしも、参加しますので、よろしくお願いしますね」




 こうして、また、パーティーは開かれるのだった。


 そうして、そのパーティーの後で・・・・。





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