第34話 ソフィーとアヤカ①


 ソ「ふん、それにしても、トーヤはエラそうに指示ばかりしてるんですね。少しはエリーを見習って、前衛らしく前に出て戦ったらどうです?」

 ア「まったく、そうよね。でも、仕方がないじゃない。トーヤなんかが前に出たら即勇者死亡で、私たち、解散だけどね(笑)」

 ソ「もう、いっそのこと、それでもいいですけどね(笑)それに、この前の試練の間、アレは何です?ただ突っ立ってただけで気を失うなんて、素敵な勇者様ですこと(笑)ホントに死んじゃったかと思ったわ(笑)そうなると私の責任問題かしらとか思って無駄な心配しちゃいましたよ(笑)」

 ア「だよね~~~(笑)わたし、寝てたけどね(笑)」


 なんだ、コイツ等、急にキレ出したぞ。

 しかし、性格悪いし、嫌味なニタニタ顔でオレを見てくるよな。


 エリ「それは、違うよ!!」

 ト「いいんだ、言いたいヤツには言わせておけ。だけどな、お前ら、その程度なのか?今まで、何をしてきたんだ?」


 ソ「あなたに言われる筋合いはありません。勇者だからって、エラそうに言わないでください。ピエール様のおっしゃる通りだったわ」

 ア「そうよ、トーヤくん、あなたにはがっかりだわ。勇者面するとは思わなかったわ。ピエール様に言われてないと、私たち騙されてたかもよ。やはり戦闘になると本性を出しちゃうモノなんだね。お姉さん、悲しいよ」


 エリ「みんな、勘違いだよ!」


 ソ「エリー、あなたの方が勘違いしてるんじゃなくて?あなた、勇者の妻になるってことで婚約破棄したんですってね。勇者だからってトーヤなんかに付いて行って、結局バカを見るわよ、あなた!」

 ア「もう、女官たちがウワサをしまくってたわよ。今最も、お熱いおふたりですって!」


 ソ「あなた達は、不潔です。しゃべるのも嫌だわ。ホントは、顔も見たくありません。いいですか、私は、ピエール様に言われて、仕方なくここまで来たんですよ。ホントは早く帰りたいのに。だから、大人しくしといて頂けませんか?キスとか、ふざけたことをしないで」

 ア「それ、言っちゃう?ふふふふ、ソフィー、キスに過敏すぎるよ!まあ、仕方ないか。私、このパーティー抜けたくなっちゃったな。でも、王女様(ジャポニカ王国の)が怒るから、仕方ないか。あ~~あ、やってられないわ、もう、お風呂入って、美味しいモノ食べて寝るからね」

 ソフィーとアヤカは連れ立って、馬車の方へ向かった。


 エミ「こんな人たち、もう、どうでも良いじゃないですか?エミリがいますよ、勇者様?」

 エリ「私もいるんだけどね!でも、彼女たちのチカラは必要よ。どうするの、トーヤ?」

 ト「今のアイツらに何を言っても聞く耳なしだな。しかし、ピエール、あいつ、あのらに何をした?」


 オレ達はそれぞれ、つまり、先に行った二人とは違う馬車で聖王宮に帰って行った。


 エミリとエリーはお風呂場へ直行したら、ソフィーとアヤカが先に入っていた。


 ソ「ああ~~~、あったまる~~~、でも、あのトーヤの顔見た~~?うふふふふ、もっとイジメちゃおうかな~~」

 ア「エへへへへへ、ホント、それね!トーヤ、イジメがいがあるわ。ちょっと、ぞくぞくするわね。キャハハハハ」

 ソ「なにかしら、こんな面白い事、わたし、今までなんでやってこなかったのかな?」

 ア「新しい世界に目覚めたのよ、ソフィー・・・ああ~~~ん、ソフィー」

 ソ「あん、ダメよ・・・ああ~~~」


 エミ「あなた達、私たちの事を不潔とか言ってたけど、ヤルことやってるじゃない?私たち、そんなこと、したことないのに!」

 エリ「あなた達がそんな人だったなんて、見損なったよ!」


 ソ「うふふふふふ、じゃあ、パーティー解散する?別にいいわよ。どうせ、あの弱い勇者なんかと一緒だと、私たち死ぬよ」

 ア「そうね、あの勇者じゃあ、これから先、私たちの未来はないわね。あなた達もそれはわかって言ってるんでしょうね?」


 エリ「それは違うよ!トーヤは強いよ!なぜわからないの?」

 エミ「そうよ、あなた達、おかしいんじゃない?」


 ソ「おかしいのは、あなた達よ。何を言ってるのよ!」

 ア「あなた達を想って言ってるのに、もうどうしようもない人たちね。あなた達、トーヤに何かされたんでしょ。かわいそうに」


 エリ「何かされてるのは、あなた達じゃない?どうしちゃったの?」

 ソ「あなた、もう救いようがないところまで、堕ちちゃいましたね、おかわいそうに」

 ア「そうね、もう止めましょ。なにもかも」

 ソ「そうよね。なにもかも止めましょう。楽になりましょう」





 オレは、食事は聖王とでした。

 エミリとエリー付きで。

 まあ、それでも、サシだ。

 アイツらは、顔を見るのも嫌なんだったら、ほっとくしかない。


 たぶん、自分の魔力が低下しすぎていて、情緒不安定になっているのだろう。

 でも、ソフィーのオーラが、あのなんとも言えないピエールのオーラの色に似て、得体の知れないモノになってきているのは、看過できないことだった。


 それに、あのピエールに何を吹き込まれたのやら、どうせ、オレのマイナスイメージを掻き立てさせることを・・・うん、待てよ、つまり、オレの歴代勇者最弱説を作り出しているのって、ピエールか?

 アイツなら、やりかねん・・・・そうか、もし、オレの推測が正しいのなら・・・・・・。


 とにかく、ソフィーを何とかしないといけないな。

 アヤカは、まだ、マシみたいだけど・・それでも・・・。

 取り合えず、じじいに報告だ。



「「「「かんぱーーーい」」」」


 じ「しかし、聞いたところによると、ほぼ戦闘して10分程度で勝負を決したそうじゃな?いやはや、流石じゃ!それと、勇者トーヤよ。お主の実力、凄すぎるようじゃな。攻撃するのが見えないので、エリーとか他の聖女が魔族をやっつけて、勇者は結界の中でじっとしてただけとか言われておるのう。ホッホッホッホ!ワシは知っておるぞ、試練の間で、何かを掴んだようじゃの」


 エリ「そうなんです、聖王様。みんなわかってないんです、トーヤの凄さが。ソフィーやアヤカなんか、勇者面して何もしてないクセにッて、怒っちゃって大変なんです」

 エミ「おかわいそうです、勇者様が」

 ト「はははは、オレはそんな言われ方は、もう、慣れてるから気にしてないけど、ピエールが何かを彼女たちに吹き込んだようだぜ、じじい」

 じ「そうか・・・うむ・・・それならば、早い方が良いな。明日の朝にでも呼びに来るので、その時に勇者パーティーは全員集合じゃ、まあ、今は忘れて、飲むぞ!」


「「「「かんぱーーーい」」」」


 こうして、オレは、またベロベロに酔ってしまった。でも、エミリの踊る姿は美しかった。でも、エリーの踊る姿は、盆踊り?だった。

 なに、盆踊りって・・・霞む頭の中で、盆踊り?をするオレ達を思い出していた。あれって、面白いお座敷芸?だよね!



 翌朝、女官が起こしに来た。

 朝飯を食べろという事だった。

 う~~~んと伸びをしようとしたら、柔らかいモノが触れた。

 ・・・・・またか?


 今朝は、エミリとエリーが横で寝ていた。

 二人は、あくびをしながら、朝なの?とか言ってる。


 またかい!今度はエリーもだし!

 こんなところをアイツらに見られたら、また誤解されるぞと思ってたら、来た。

 なんで来るかな?女官のヤツ、嫌がらせか?


 ソ「あの・・・えっ!!・・・・」

 ア「あっ!!・・ないわ~~」

 ソ「ないです・・・せっかく謝りに来たのに・・・」

 二人はそれだけ言うと出て行った。


 おい、どうしてくれんだよ!

 また、誤解じゃね?

 オレは、もう面倒くさくなった。


 朝メシを無言で食べたオレ達は、聖王が来るように指示を出していたところへ行くと、比較的大きな部屋に入るように言われた。


 また、試練の間?とか思いながら入って行くと、何もない部屋だった。

 だが、至る所に罠?か何かの仕掛けがあるようだった。


 聖王が遅れて入って来た。聖王は正装をしていた。

 手には古い杖が1本あって、そこから強い波動が感じられた。


 王「これより、聖武具を渡そうと思う。ソフィーとアヤカは前に出でよ!」


 ソ・ア「はい」


 王「跪くがよい・・・目を閉じよ!そして、心を平静に保て!これから両人に聖武具を授けたいのじゃが、その前に、聖武具の担い手として相応しいかどうかの試練を与える。なに、大した試練ではないから安心せよ。では、そのまま目を閉じていよ!しゅよ、聖クリストが伏して願う。この者たちに聖なる祝福を!この者等は、聖女也。己が心の内を見つめ、己が心の真の姿を求め、虚実を見極めんとする者也!さもかくもあれ、自ずと道は開かれんや!」

 聖王は、そういうと、何か呪文を唱えた。


 二人の周りを淡い青色の光が包み込むように発光し、二人の首がコクンと下がった。



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