幼馴染にフラれ転生したら、勇者になったけど裏切られ続けるが、絶対後悔させてやる!

風鈴

第1章 現実世界から異世界へ

プロローグ

「うわぁぁぁ・・・」

 大型トレーラーが僕をね飛ばした。

 宙に舞っている間、僕は、あのエストニアで見た、涙を流す聖母像を見たような気がした。




「ママでちゅよ~~、おっぱいの時間でちゅよ~~、おっぱいいっぱい飲んで早く大きくなるのでちゅよ~~」

 金髪碧眼の優しい丸顔の女性が赤ちゃん言葉で話しかけてきた。

 僕は、動物の本能的な感じでおっぱいをしゃぶった。

 別に美味しくはないけど、ただ抱かれている安心感が僕に安らぎを与えてくれた。


 そうして、一日の多くを寝ることと食べることとオムツの取り換えとに費やしていたが、ある日から、ある夢を見るようになる。


 背の高い、スラっとしたストレートボブの髪の美人が、イケメンとキスをしていた。

 何かをしゃべっているがよくわからない。

 彼女は、時々、涙ぐみ、イケメンが慰めるというパターンが続き、最初、彼女は躊躇いがちに彼のキスを受け入れ、それからは、時々大人のキスもするようになっていった。

 そんなシーンばかりが、夢に出てくるようになって、ある時、彼らの話す声がわかるようになった。


 男「もう、前を向いて歩けるようになったよね。僕も手を貸すから、これからも一緒に歩いて行こう」

 女「・・ありがとう。でも、忘れられないわ」

 男「忘れなくてもいいよ。ただ、それを想い過ぎて後ろ向きな気持ちにならないこと。僕がその手助けをするから。そして、いつかは悲しみより、僕と喜びを分かち合えるようになろうね。大好きだよ!」

 女「うう・・ありがとう。わたしのこと、そんなに想ってくれて・・わたし、そんな優しいあなたが好きよ。でも、まだ、彼とちゃんとお別れしてないから。あなたのすべてを受け入れるには、もう少し、待ってほしい」

 男「もちろん、何日でも待つよ」

 そして、男は女に熱いキスをするのだった。

 キスを交わした後、彼女を見送った男は、「もう少しだな、くくくくく」と笑っていた。


 あ・れ・は・・・さ・や・か?・・・で、ア・イ・ツ・は、か・や・ま・・・・。

 そうか・・・さやか、お前、加山と・・・・・・・。

 さやか・・・好きだった・・・もう、遅いけど・・・大好きだった・・・なぜ、そんなことが言えなかったのだ・・オレは・・・・。


 その後、加山が女性と体を重ねている夢を見た。

 その女性は、あの女子マネだったり、オレに告白してきたあの子だったり、いろいろとヤッテルようだった。

 こんなヤツを早弥香さやかは信用してるのか?!

 騙されてるぞ、早弥香!

 と言っても、声が彼女に届くはずもないけど。

 やっぱ、アイツはクソな野郎だった。

 なぜ、みんな、あんなヤツと・・・・・。



 それからは、もう、彼らの夢を見なくなった。


 そして、オレは、また、微睡まどろんだ世界に浸っていくのだった。

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