第3話
――――
――――――
――――――――――――
「あれから、40年近くか~。時の経つのは早いもんよね~。トモ子が高校生になるんやもんね~」
「そうね。トモちゃんも立派になって嬉しいわ」
まあばあちゃんは幸せそうです。
「わたし、お母ちゃんの子になれてほんとに良かった! あの時、お母ちゃんと出会えてなかったら、私、きっと死んでたわ」
恭子ちゃんがまあばあちゃんにお茶を入れながら言いました。
「あら、恭子ちゃん。お休みの日くらいゆっくりして!」
まあばあちゃんが慌てたように言いました。
「なんでよ。お母ちゃんには、いっつも家のこと任せっきりにしてるのに、私が家にいるときはゆっくりしててよ」
「……ありがとう」
恭子ちゃんは、実の娘でありません。公園で出会ったあの時の女の子です。
まあばあちゃんは今、娘の恭子ちゃん、その恭子ちゃんのご主人。そして、今年高校生になる孫娘のトモちゃんの家族4人で暮らしています。
恭子ちゃん夫婦は自宅から少し離れた場所で小さな工場を営んでいます。恭子ちゃんとお父さんは働き者で、朝早く家を出て夜遅くに帰ってきます。まあばあちゃんは忙しい恭子ちゃん達に変わって、トモちゃんを育ててきました。
恭子ちゃんは、いつもまあばあちゃんに感謝してくれますが、まあばあちゃんも恭子ちゃんと家族になれて、毎日がとても幸せなのです。
まあばあちゃんも独りぼっちでした。縁あって夫婦になったご主人にも先立たれ、また独りぼっちになりました。だから、恭子ちゃん出会ったことを感謝するのは自分なのにと、いつもまあばあちゃんは思いました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます