あなたの背中を抱きしめて・・・

ハル

第1話 出逢いは1つのスタート

「ヤッバー!遅刻じゃん!ごめんっ!ママっ!私、朝御飯要らないっ!」



階段を駆け降りる私。



「あっ!こらっ!成美(なるみ)っ!」



リビングから顔を出すママ。


振り返る。



「ごめんっ!せっかく作ってくれたのに、マジごめんっ!」


「全く……気をつけてね!」

「うんっ!行ってきまーす!」

「行ってらっしゃい!」




私は足早に出掛けた。



私の名前は、赤河 成美(せきかわ なるみ)16歳。


○○女子学院に通う女の子。


私の通っている高校は世間では、お嬢様学校だと言うけれど、悪魔でも噂だけであって、正直余り良い学校じゃない。


通ってみて気付いた。


実際は外面だけ良い学校だという事。


内面じゃ、お嬢様所か、援交(援助交際)してる人、クラブに通いまくり。


結構な問題生が多い。


お金持ち、普通の一般家庭、訳あり家庭。


様々な人達が集まった学校だ。




「昨日さー、超イケメンの大学生と合コンして、お持ち帰りされて、ヤっちゃった!」



「半同棲の彼氏と大喧嘩しちゃってさー、男友達呼出して出掛けてヤっちゃった!そうしたら、彼氏よりも、テク上で、もうマジヤバってやつ?」




こんな会話が、どこそこクラス中に飛び交っているのだ。


正直、ついていけない。




そんな私は、まだ何の経験もない、ピュアで汚れていない女の子であって、


多分、私に関係なく世間では色々な噂があって、さっきのような子達の同レベル女子か、真面目女子か、普通の女子か、私みたいなピュア女子か、ハイレベル女子か……



これは出逢う人によって変わってしまう人生観のような気がする。




その日の放課後 ―――




「あっ!ダーリン♪」

「ハニー♪」



二人は密着し濃厚なキスを人前で平気でする。


正直、見てるこっちが恥ずかしい。




≪ハニーとか、ダーリンとか……≫



「今の聞いた?」と、私。


「聞いた」と、親友。



「……………………」



私達は、コソコソと話を小声で話し、足早に去った。




親友の名前は、丘本 亜衣(おかもと あい)


彼女も、私と同じピュアな女子。


私達二人は自転車通学の身分だ。




私達は、色々、話をしながら帰るのだった。




ある日の学校帰り ―――




「おいっ!馬鹿っ!どこ走ってんだよ!」

「仕方ねーだろう!?二人乗りなんて久しぶりだし!」


「お前用のチャリ免、持った方が良くねー?1からやり直ししろよ!」


「うるせーなタコ!」

「タコは海にいるぞ!」

「お前なー!」




私達の前を会話しながらもフラフラと二人乗りしている高校生の男の子達の姿。


たまに車道に出たりして、見ているこっちはハラハラで正直、危なっかしい。




「ねえねえ、成美ーー、前の二人乗りの自転車って危なくない?」



亜衣が言ってきた。




「本当だよねー。しかもたまに車道はみ出しちゃってるし!チャリ免、自分用、持った方が良いんじゃない?」


「アハハ…やだ成美」

「だってそうじゃん!」



私達はハラハラしながらも帰って行く。




「ねえ、追い越す?」

「そうだね?見てるこっちがハラハラだし心臓に悪いって!」



私達は、二人乗り男子を追い越した。



「あっ!おいっ!敏(とし)っ!追い越されたじゃねーかよ!しかも女子!テメーがノロだから!」


「おっ!○○女子学じゃん!」


「うわっ!馬鹿っ!つーか、人の話、聞けよ!」



「ねえ、ねえ、ねえ。何年生?」




追い越した二人乗り男子の前の人が、背後に来て横に並んだ時、尋ねて来た。



「関係ないじゃん!」と、私。



「そこを何とか」と、前の人。


「敏、よせって!」と、後ろの人。



「ねえ!声掛ける前にさ、もっとマシな運転した方が良いよ」



「ほらほら、言われてっぞ!」と、後ろの人。



「つーかさ、一台ずつチャリ乗りなよー。危ないよー」



「交代制でさ、日替わり運転なんだよね~俺達」


「へぇー、そう。あんたらって、そういう関係なんだ」


「はあぁぁぁっ!?おいっ!その台詞、聞き捨てならねーぞ!」


と、後ろの人。



「だったら、一人ずつ乗った方が良くない?絶対、誤解されるよ。いや、既にされてるかも」



クスクス笑う亜衣。



「お前、お嬢学校のくせに言ってくれんじゃん」


後ろの人。



「あー、それ言っておくけど、内と外じゃ違うから」



「えっ!?」と、前の人。


「いや、お前と話してりゃ分かる!」



と、後ろの人。




「どう分かる訳?初対面のくせに!つーか、私達なんかよりも、上には上がいるから、女装でもして潜入してみなよ」



「ぷっ……」



吹き出す亜衣。




「マジ凄いから。ヤバイよ~。私達は天使だから可愛い方だよ」


「…天使って…友達は、ともかく。お前は…天使ってキャラじゃなくね?」


「ちょっと!初対面で、お前呼ばわり?あんた何様なの?」


「名前知らねーから仕方ねぇだろ!?」

「教える気ないし!」

「誰も聞こうとは思わねーよ。バーカ」

「ちょっと!マジ何なの!?」

「何だよ!」


「まあまあ二人とも」と、前の人。


「じゃあさ、取り合えず、あんた達に内部情報、一部だけ教えようか?」


「何、何?」と、前の人。


「ウチの高校に騙されないようにね」


「えっ?それだけ?」


「本彼いても、いなくても…男友達とかと平気でヤっちゃう子いたりするから。だからって私達は違うから。それじゃ」



私達は速度を速め自転車を漕ぎ帰る事にした。



これが私達の出逢いだった。


































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