転生オーガライフ ~最強オーガに転生して、異世界でも元気に生活しよう!~
エルマー
第1話 エルフのアルス#1
世界創生の話
創造神と対抗神の衝突によりこの世は形成され
滅びた神の力は気化し
この星の大気には魔力が満ちたという…
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森の中を歩く一人の大男
身長は2メートルを超える
骨格はしっかりしている
大きな体躯に非常に実用的な筋肉を持っている
凶悪な肉体には似合わず、表情は柔らかで優しそうだ、口元は牙にも近い犬歯が時折見える。
そして最大の特徴は
額から20cm程度の角が生えていることだ。
「この森はいつまで続くんだ…」
見た目に反して、声は理知的でその大男はひとり呟く、そして考える
うーん、木々のせいで日が見えないなぁ
しかし、腹の具合からして夕方にさしかかるころか?
今日の夜営の準備をしなきゃなぁ
と、本日の寝床に相応しいポイントを探すべく
周辺を探索していると
不思議なものを光景を目にする
蜘蛛の糸…
大きな木々を縫うようにして
通常の蜘蛛の何倍もの大きさの蜘蛛の巣がある
「ぐわ!なんだこれ!でかい蜘蛛の巣だな…てことはこの巣に相応しい大きさの蜘蛛がこの近くにいるのかな…多少興味あるが、、めっちゃ怖ぇえな…」
誰に言うでもなくひとりでそんな事を呟いていると、不意に声がかけられた
「森蜘蛛だよ」
その声は頭上からする。
声の主を探すために、目線を木の上にあげる
そこは地上部分にある蜘蛛の巣以上の広さの蜘蛛の糸が枝から枝、また隣の木から隣の木へと張り巡らされていた。
まるで蜘蛛の糸で出来た天井だな…
そして、その天井の一角からまるでミノムシのように吊り下げられたモノを見つけた。
蜘蛛の糸で体をぐるぐる巻きにされながら吊るされているモノ…
いや、モノでは無い
先程の声の主であろう、人物であった。
金髪で長髪の男
色白で耳が特別長い
顔立ちは、、、個人的な感性ではかなりいいと思う。
イケメンアイドル事務所に所属してそうな顔だ。
その涼しげなイケメンは俺を睨みながら
声をかけてきたようだ。
「あんだよ…」
逆さまに吊るされながら、怪訝そうに喋りかけてきたイケメンくん…
正直、人と話すのは久しぶりだし…
というか人形生物と話すのはこの世界では初めてだ。
緊張するな…
第一印象は大事だ。
優しく朗らかに声をかけよう。
「や…やぁ、はじめまして、私はゲンキといいます。あなたはこの巣の主ですか?」
「はぁ?んなわけ、ねぇだろう?どうしてそうなるんだよ!」
口悪いなこいつ…
せっかく丁寧に声かけたのに、少しショックだぞ。
「えーっと、、先程「森蜘蛛だ」って名乗られたじゃないですか?ですからーー」
「はぁ!!ちげーよ!馬鹿じゃねぇーのか!てめぇがこの巣のこと何も知らねぇなら教えただけだろうが!!俺は森蜘蛛じゃねぇーよ!見りゃ分かるだろうがよ!」
うわーなにこの人、、糸に絡まってるから身動きとれないのに吊るされたまま暴れるから、ブランコみたいに揺れながらキレてくる…
こえーよ、、とてもお友だちにはなれそうもないな…
「はぁ…そうですか、教えて頂いてありがとうございます。ではお邪魔なようなので失礼します。」
森蜘蛛なんて怖い生物が要るようだし
とっととこの場を離れよう。
そういえば安全な寝床を探しているところだった。
「いや!!いやいや!ちょっと待てぇ!この様子見て!そのまま離れるのかよ!てめぇ!こら!待ちやがれ!!」
なんだろう、、たぶん助けてほしいんだろうけど、ああいう言い方されるとなんか嫌だなぁ…このまま振り向かずにいよう。
「待って!すいません!待ってください!お願いします!」
お願いされてしまった。これなら助けるのもやぶさかではない。
「なんですか?森蜘蛛さん?」
「はぁぁぁぁぁあ!!!ちげぇーーーってんだろ!てめぇ!殺すぞ!誰が森蜘蛛だぁ!」
駄目だ…きっと僕らは分かり合えないんだろう。これ以上お互い傷つけ合わないように、この場を離れた方がいいな。
「いや!ごめんなさい!行かないで!助けてください!!お願いします!!」
なんなんだ、、この人は…
「はぁ…分かりましたよ、ただその前に聞いていいでしょうか?」
「…なんだ、なんですか?」
やや半泣きだな、少し苛めすぎた。
「あの、木の上に張り巡らされた糸の上にある気持ちの悪い粒々の塊はなんてじょうか?」
逆さまに吊るされた男が、自分の足下である天上を見上げる、かなり無理のある体勢だ。
「ありゃ、森蜘蛛の卵だなぁ、、」
「ということは、あなたは卵がかえった後に、森蜘蛛の子供たちが食べるための生きた餌ということですね?」
すげー青ざめている、まぁ、そうだわな。
だけど、まあ好都合だな、
少々ひどい交渉だけども、これからの俺の生活にも関わってくるからな…仕方がない。
「さて、そこで相談事なのですが、いいですか?助けてやるから、命の恩人である私に報いなさい!」
「はぁああ!なんだって!なんでてめぇみたいなよくわからない奴の恩に報いなきゃならねぇんだよ!っふざっけんな!!」
こいつ、本当に状況判断が下手くそだなぁ…
この世界のやつらみんなこんな連中だったら先が思いやられるな。
「まぁ、、このままぶら下がっていたいなら、それもいいかもね。君は生きたまま蜘蛛の子供たちの餌になるのが希望のようですし。」
よし、ここで振り返り、帰るふりをすれば完璧だなーーー
「っいや!本当すみませんでしたっ!!調子のりました!!あなた様は命の恩人になる方です!!助けていただいた際にはっ!是非恩に報いさせてくださいませ!!おねにゃいしまーーす!!」
もう本当に必死に懇願されて、最後の方なに言ってるか聞き取れなかった。
だんだん面白くなってきたぞ…こいつ。
とはいえこれ以上苛める理由もないし。
ある意味こちらも困っていたのだから、絶好のチャンスに巡り会えたのだ。
私はその辺の木の棒を拾った。
絡み付いている糸をこれで外してあげよう。
ーーードサッ!
吊るされている男が地面に落ちてきた。
いまだに体はがんじがらめになっていたので、受け身もとれず地面に落ちて痛そうにしている。
やれやらあとは体の糸を除去してやるか…
「あれ…ネバネバしてて手にくっつくし複雑に絡み合っていて、以外と外れにくいなこれ…」
「あぁっ!いててて…待て!腰の辺りの糸を先にどかしてくれ、ナイフが入っているから」
私は彼の腰に携えたナイフを取り、糸を切るように外していく。体を傷つけないように丁寧に、しかも粘着性もあるので簡単ではない作業だったが、なんとか彼を森蜘蛛の糸から救出した。
立ち上がる彼を見る、身長は以外にも高くなく160cmくらいかな、細みの体に金髪、長い耳、武器はナイフと弓を持っていた。
いや、半分くらい気付いていとけど、これって間違いなくあいつでしょ…
「エルフじゃん…」
彼はまだ、不機嫌そうに睨みながら、それでも命の恩は感じているようで丁寧にかえしてきた。
「いかにも、私はエルフ、エルニット族のアルスだ。」
「ああ、アルス宜しく、改めて私の名はゲンキ、たぶんオーガです。」
私の楽しい、転生オーガライフに仲間が加わった日である。
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