オマケ7

 放課後の部室。

 哲学部にはいつもの3人が募っていた。


「コウちゃんは、どちらかと言うと東洋哲学がお好きなんですね」

「は、はい。もちろん西洋哲学も好きなんですけど……」

「別に、私が西洋哲学派だからって気を遣わなくてもいいわよ。むしろちょうどいいわ。この哲学部には西洋、東洋共に穴がないってことなんだから!」


 先輩はお昼以降は私を呼ばなかった。

 まだ尿意が来ていないのだろうか。


 しかし、もう限界のはずだ。

 先ほどから後輩ちゃんの淹れた紅茶を飲んでいるのだから。


 哲学部の活動中は誰もが頻繁に席を立つ。

 後輩ちゃんの淹れる紅茶が美味しいがために、この部活中だけはみんなが頻尿になるのだ。


「……ちょっと席を外すわね」

「っ! あ、先輩。ちょっと待ってください」


 立ち上がり扉へ向かった先輩を慌てて呼び止めた。


 どうやらようやく満ちたようだ。


「な、なに……?」

「少し、こちらに来ていただけませんか?」

「……っ」


 先輩は信じられないという顔でこちらを見ている。


「そ、それ、今すぐじゃないとダメ?」

「ダメです。今すぐにこちらに来てください」


 ここで先輩にあまり喋らせると後輩ちゃんに怪しまれる可能性がある。

 あくまでも先輩のために、私は有無を言わさず先輩を呼び寄せた。


「先輩?」

「――っ」

「ほら、先輩?」

「……」


 先輩がこちらににじり寄ってくる。

 挙動が不審すぎて後輩ちゃんも怪訝そうな表情だ。


「さ、どうぞ?」


 先輩に向けて迎え入れるように両手を広げる。


 しかし先輩が動こうとしたところで、後輩ちゃんが口を挟んだ。


「あ、あの、何をなさっているんですか?」

「っ!? え、えと……」

「エアコンが効きすぎなのか、ちょっと寒くて。でもエアコンを消してしまうと暑いですし。ほんと、どうしてうちの学校のエアコンってこんな仕様なんですかね」

「あ、そういえば先輩って温かいんでしたっけ。この前、みんなで体温計りましたよね」

「そうです。なので、先輩に少し体温を分けてもらおうと思いまして。ね、先輩?」

「あっ、あぁ……うん、そうね……」


 後輩ちゃんの納得した表情を受けて、先輩は私に背を向ける形で腰を下ろした。


「先輩、向きが逆ですよ?」

「え、でもいつもは――」

「こっちの方が温かいですから。ね?」

「~~っ!」


 先輩の返答を待たないまま、半ば強引にお腹同士をくっつけるように抱き合う。


 向かい合いながらのハグ。

 いつも全裸でしている行為のせいか、これだけでも少し興奮してしまう。


「あぁ、暖かい。とても暖かいです先輩……。やっぱり、人の自然な温もりはいいですね」

「そ、そうね」


 後輩ちゃんに見られているせいかいつもよりも固くなっている先輩。

 そんな先輩の耳元に口を寄せ、吐息を吹きかけるような小声で話しかける。


「さ、先輩。いつでもいいですよ?」

「う、うそよね……だ、だって、コウちゃんが……っ」

「気付かれないですよ、先輩さえ気を付ければ。……お昼みたいに勢いよくしたらだめですよ?」

「い、いや……さ、さすがにここでは……っ」

「……しー、ですよ先輩。しー……しー……」

「ひっ」


 優しく、腰を撫で上げながら先輩に囁く。


「しー……しー……。ほら、先輩。上手にしーできますか?」

「だっ……そ、それ、だめ……っ」


 早くも調教の成果が出てきているらしい。


 先輩の体は、私のささやきに排尿の制御を委ね始めているようだ。


「震えていますね。そんなに力を入れて我慢するのも体に悪いですよ。しー……しー……」

「だ……いやっ……ぁっ!」


 下腹部を密着させていることによって、音ではなく振動でそれが感じ取れた。

 先輩の性器から液体が排出される微かな振動が。


「いい子ですね、先輩。さあ、一回出してしまったら後はもう我慢してもしなくても同じですよ。だから、気持ちよくなってしまいましょう。しー……しー……」

「あぁ……っ、ぁぁっ」


 震える先輩の吐息交じりの声。


 羞恥に悶えているように聞こえるが、快楽によがっているようにも聞こえる、というのは私の勘違いだろうか。


「いい子、いい子。しーするのは気持ちいいですね、先輩。さあ、全部出しきっちゃってください。しー……しー……」

「んっ……はぅっ……っく」


 不思議そうな表情を浮かべる後輩ちゃんに微笑みを向けながら。

 私は先輩を抱きしめ、頭を撫で続けた。

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バリタチの私と生意気な先輩と従順な後輩 @papporopueeee

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