第51話 ご対面

 その日の午後。


 かおりが、田中みのりに連絡をいれた。

”英一に彼女がいるらしい・・・”


 すると、すぐに確かめたいと返事が来たので同じカフェに呼び出した。



 そして、かおりとみのり。

 その向かいには英一とひかるが向かい合って座っている。


 ちなみに安藤先輩は隣のブースで聞き耳を立てている。


「澤木ひかるで~す。よろしくね」


 無邪気に自己紹介する女の子。

 その笑顔はどことなく猫を思い起こさせる。


 一瞬ひるんだ女子高生二人。

 だが、すぐに険しい表情でみのりは問いただした。


「それで、ひかるさんは澤木・・・英一さんと親戚なんですよね?」

「そうだよ?血はつながってないけどね」


 ニコニコと返答するひかる。

 その間も、その細い腕を英一の腕に絡ませている。


「それで、お二人は交際してるって本当ですか!?いつから交際しているんですか?」

「え~~?交際って・・・ねえ?」


 あざとい笑顔で、にやにやと英一を見上げて目を合わせる。


「え?・・・あぁ・・いつから・・・って・・・」

「だって~~。子供のころからいつも一緒だったからね?」


 そう言ってウィンクするひかる。


「う・・・」


 一瞬ひるんだみのり。



 しかしながら、真剣な表情でひかるをにらみつけて言った。


「本当は付き合ってなんかないんじゃないですか?怪しいです!!」


 その言葉を聞いたひかる。

 にま~~~っと口角を上げて笑顔になる。



 かおりは、猫みたいだと思った。



 ただの猫ではない。



 不思議の国のアリスに出てくる猫

 チェシャ猫のイラストを思い出した。



「え~~~?疑ってるの~~~?」


 そう言って、にまあっと笑った瞬間。




 ひかるは、英一の膝に突然またがったかと思うと・・・



 その両耳をグイっとつかみ・・・唇と唇を合わせた。



 じゅるる・・・



 明らかに英一の口に舌を入れている。



 激しいディープキス。

 

「む・・・むむ~~~・・・」


 英一は何か言おうとしているようであるが、言葉になっていない。



 たっぷり、2分後。

 英一の唇を解放するひかる。


「お・・・・お、おま・・・・突然何するんだ!?」


 英一の抗議にもニマニマと笑顔のひかる。


「どう?これでわかった?」


 そう言って、振り返った。




 


 そこには、顔を真っ赤にして意識を飛ばした女子高生二人がソファにもたれかかっていた。




「あら・・・ちょっと刺激が強すぎたかしら」


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