第43話 第4部 エピローグ
かなり、間が開いてしまいました・・・
申し訳ありません。
◇◇◇◇◇
「もう一丁!」
ズダアアアアン!!
「ちょ・・・・かおり・・お願いだから休ませて・・・」
「まだまだ!」
冴島由紀は今日も鬼気迫る表情のかおりの相手をしている。
かおりは物凄く不機嫌な表情で眉間にしわを寄せている。
なぜなら、英一が一足先に帰ってしまったのだ。
昨夜、一年生のみのりは高熱を出して病院に行った。
結局は風邪と疲労。
一晩で、かなり熱は下がった。
だが、念のため一足先に帰ることになったのだ。
そこで、英一がレンタカーでみのりを送って行ってしまったのだ。
ちなみに、そのまま戻らない予定である。
ズダアアアアン!!
合宿で、もっと英一と過ごせると思っていたかおりは、当てが外れて機嫌が悪いのである。
八つ当たりされている冴島由紀にとってはいい迷惑である。
「ちょ・・・ちょっと、誰か助けて~~~!!」
――――
月曜日、英一は職場の仲間にお土産を配っていた。
「あら、伊豆に行ったの?」
「ええ、そうなんですよ」
安藤先輩は、眉をぴくっと動かして言った。
「まさか、あの高校生と二人で行ったなんて言わないわよね?」
「あっはっは、まさかですよ。柔道部の合宿につきあっただけです」
「柔道部・・・それって女子柔道部?」
「そうですが?」
まったく悪びれずに言う英一。
女子高校生と宿泊することに、罪の意識は全くないらしい。
「まさか、海で海水浴とかはしたの?」
「いえ、本当なら行く予定だったんですがいろいろあって海には行けませんでした」
「そう・・・」
安藤先輩は、英一を睨みながら言った。
「ところで、この週末は予定はあるのかしら?」
英一は思った。
一週間も休んだのだ。休日出勤で挽回しないといけないのだろう。
「はい、大丈夫です。空けときますよ」
胸を張って答えた。
「それは良かったわ」
安藤先輩は事務的な口調で告げた。
「それでは、白浜海岸駅に9時に集合。必ず水着も持参すること」
「はぁ!?」
――――
「あ、みのり。もう体調は大丈夫なの?」
合宿が終わって数日後。
女子更衣室で着替えていると、一年生のみのりが入って来た。
夏休みではあるが、部活は毎日のように行われる。
なにしろ、夏休み明けには大会が予定されているのだ。
「はい、ご心配かけました」
「無理しちゃだめよ」
かおりは、先輩風を吹かせてみのりに言葉を掛けた。
他の部員は柔道着に着替えて次々と道場に向かっていく。
更衣室にはかおりとみのりの二人になった。
すると、みのりはおずおずとかおりに話しかけてきた。
「・・・かおり先輩。ちょっと聞いてもいいですか・・・?」
「何かしら?何でも聞いてちょうだい」
胸を張って、答えるかおり。
後輩に頼られる先輩。そのシチュエーションがちょっとうれしかったのだ。
「あの・・・ 」
みのりは、うつむいて目を伏せ恥ずかしそうに小さな声で。
「・・澤木さんって・・・・彼女とかいるんでしょうか・・・?」
「あ゛ぁ゛!!?」
物陰から見ていた、女子部員は後に語った。
かおりの顔は般若のように恐ろしかったと・・・。
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